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「修理」は楽しい! 広がるリペアブーム

近年「修理する権利」という考え方が話題になっています。英語ではRights to repair。商品を購入したユーザーは保有するモノを修理して使い続ける権利があるはずだ、という考えです。

環境に配慮したライフスタイルを支持する人が増える中で、モノとの付き合い方を見直し、責任を持って長く考え方をシフトしたいという人が増えています。壊れたら捨て、新しいものを買うのが「消費者」マインドだとしたら、修理して使い続ける「所有者」マインド。しかし、私たちの生活に欠かせない電子機器は特にそれが難しい。構造や部品が非公開なためです。結果、修理にかかる費用などが実質的に金額もメーカーに委ねられています。

この構造を疑問視する人たちが運動を起こしたことで、モノを修理して使うという考え方が全世界的に再注目されるようになりました。メーカーに対して製品の情報開示を求め、消費者が自ら修理できるようにする。アメリカでは既に多くの州が法制化に向けて動いています。

コミュニティで楽しく修理する

これまで消費者側でのコントロールが難しかった電子機器分野が動き出したことで急速に注目を浴びるようになった「修理」についての考え方ですが、EUでは2000年代から別のムーブメントが起きていました。モノのオーナーが集まって自分たちの手でものを直すことで修理についての知識を蓄積し、地域のコミュニティの強化にもつなげようというものです。

そのきっかけの一つが、オランダ在住のジャーナリスト、マーティン・ポストマが考案した「リペア・カフェ」。壊れたものの修理が受けられるソーシャル・イベントです。家電、家具、おもちゃや衣類などを持ち寄ると専門知識を持ったボランティアが直してくれるというもの。カフェという名前がついているものの、固定した場所を持つのではなく、地域のコミュニティスペースなどを借りて定期的に開催されます。

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リペアへの注目は日本でも

2009年にアムステルダムで最初のイベントが開かれてから、世界中に広がり、今では35カ国で1700以上のイベントが開催されているそうです。ボランティアに直してもらう人、修理の仕方を教えてもらいながら自分の手で直す人。関わり方は様々だそうです。
日本でも取り組みを始める人が出てきていて、BBCの番組で紹介されていました。

東京都世田谷の複合施設「世田谷のものづくり学校の中」にある「FabLab Setagaya at IID」と、一般社団法人としてワークショップなどを開催しているリペアエコノミー協会が紹介されています。

四苦八苦しながらも自分の手で満足そうな顔が印象的。モノを大切にしたいという気持ちももちろんですが、純粋に楽しそうです。楽しみながら地域や環境に良いことをするというマインドが、こうしてもっと日本にも広がると良いな、と思います。

メーカーに修理依頼を出すと直すよりも買う方が安く済む、なんて言おうこともざら。でも使い手に知識や技量があれば、少しの修理で使いつづけられるものも多いはずです。ちょっとしたマインドの違いでお財布にも地球にも優しく、気持ちよくモノを使いつづけられる。壊れたかな、と思ったら、一度自分で直すことを検討してみてはいかがでしょうか。

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