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法学部は六法全書を開かなくても卒業できる

法学部は六法全書を開かなくても卒業できます。
模擬裁判もしたことがありませんし、裁判の傍聴もしたことがありません。
条文も暗記していませんし、法律も忘れました。
でも、卒業できました。

いま放映されているNHKの連続テレビ小説『虎に翼』を観ながら「法学部はこういうことやってるだろうあるある」のようなものをぶち壊す私の学生生活(約15年前)を家族に伝えたら驚かれました。
https://www.nhk.jp/p/toranitsubasa/ts/LG372WKPVV/

(もちろん、これらをしっかり行っている学部生や学部卒もいるだろうと思いますので「あくまで私の場合」です)

では、どうしていたのかと言うと。
六法全書は開きませんでしたが『ポケット六法』(有斐閣)というものを持ち歩き、毎日開いていました。
判例(過去の判決の実例のこと)は無く法令のみ記載があり、基本的かつ通常の勉強で過不足の無い法令が網羅された普通の辞書サイズの本。

確か、一度だけ六法全書を開いたことがあるような気がするのですが、仮にそれがなくとも卒業できたなと断言できます。

模擬裁判や裁判の傍聴は、所属するゼミによっては行っていたかもしれません。
4年間刑法のゼミに所属し、判例を議論したり、犯罪白書読んでみたり、死刑制度や少年犯罪凶悪化の議論を教えてもらったり。

(あ、あと、教授が弁護士資格を普通に持っていたりします。)

定期テストの際も重要なのは条文暗記というよりも、法律の考え方というか。
なので、みっちりとした暗記は必要ありませんでした。

法学部で学んでいる中で、一番培われたことがあります。
それは、法的な思考力や天秤の微細な動きを読み取ったりバランスをとる力、物事を公平にフェアにみる力、説得力の組み立てを考える力。
そういった感じのものたちです。

法学部を卒業したくせに法律に詳しくなくても、この力は社会に出るにあたって、社会で生きていくにあたってとても重要な力となりました。

もちろん、大学なので外国語、ジェンダー論、宗教、文学などの勉強や、サークル活動、アルバイト、友人、就活などなど法律以外でも人の幅を拡げてくれるモノやヒトがとても多かったです。



前述した『虎に翼』というドラマのヒロインのモデルは日本で初めて女性として弁護士、裁判官、裁判所長を務めた三淵嘉子さん。

三淵さんらが法律を学んでからまだ100年も経過していないこの日本で、女性である私が普通に大学に通い、普通に法律を勉強できたことは先人たちに切り拓いていただいたおかげなんだろうと尊く思えます。

三淵さんが学んだのは明治大学法学部。
私も目指していたので(落ちましたけど)、勝手ながら親しみも感じています。

時代が進むということは、人々にとって「より生きやすい」ものに進化していくことなんだと思います。

少し上の世代の方々も、いまでは信じられないようなことと闘っていたと思います。

また、あらゆるものが進むこの世の中で、進化だと思っていたもの、誰かが進化だと思い込んでいるものが実は退化だったということが大いにあると思います。

正義と悪や善と悪、正と負という概念と、多様な価値観や平等、人権も大事だよねという考えが並立している今の世の中で、事の大小や優先順位がすべて一律になってしまい大切なことや自分自身が埋もれて迷うこともあります。

そんな現在も。
いろんな人と手を取り合って、歴史から学びながら、偉大なる先人たちのように時代を進んでいきたいなと思うのです。

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