追憶_020_それでもいい
こんなにも心が揺れ動くのはいつぶりだろうか。
怒り、悲しみ、やるせなさ。ぐちゃぐちゃになった感情は何一つ抑え込むことができなかった。初めて見せた表情に、彼女は何を思っただろう。
大切な存在が出来ることによる心配事、私はどうしたいかが曇ってしまうこと。媚びるように機嫌を取ろうとしてしまうこと。
普段の私ならきっとその場で話し合えたはずなのに。
あの日、あの場所、あなたと、あんな目的でなければ気付かぬふりを出来たはずなのに。
責任の所掌を相手に求めてしまうこと、依存そのものだ。
内臓が潰れそうになる。
辛いこと、悲しいこと、傷付いたこと。その原因は全て断ち切ってきた。遠ざけることで自分を守ってきた。
ひとりでに動く親指。私らしさとは程遠い行動。
今日の私を否定しないであげるためには、そうする他に選択肢はなかった。
それでも。それでも私にはあなたなんだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?