見出し画像

【特集】NBA 2024-25シーズン開幕前に戦力分析してみた【東編】



こんにちは、スワッギちゃんです💜💛




さて、あと1ヶ月ほどでプレシーズンゲームが始まりますね。オフを終えて強くなった、若返った、特に変わりなかったチームとさまざまでしたが、各チームの大雑把な戦力がここで明らかになります。


そこで、来るNBA 24-25シーズンに向けて全30チームの戦力分析を行うことにしました。今回はイーストに所属の15チームを分析。楽しんでください。





1. アトランタ・ホークス

☆予想メインローテーション10名(+HC)

PG T.ヤング/V.クレイチ
SG B.ボクダノビッチ/D.ダニエルズ
SF J.ジョンソン/D.ハンター
PF Z.リサシェー/L.ナンス
C C.カペラ/O.オコング

HC Q.スナイダー

再建か継続か......曇るヤングとホークスの将来

ヤングがシーズンの4割ほどを欠場した昨季、ホークスはプレーオフ進出を逃した。6年にわたる「ヤング時代」に陰りが見え始めたところで、運命的にも今年のドラフト1位指名権を獲得。さらに、終活の序章としてもう1人のエース:マレーを放出した。
このまま再建一直線と世間は噂するが、現状そうとも言い切れないほどロスターが充実している。ジョンソン、ハンター、ボクダノビッチ、カペラといった名脇役になり得る中堅選手は潤沢で、新加入のダニエルズ、ナンスならスナイダーHCが得意なディフェンス戦術の遂行も可能だろう。リサシェーをいきなり新世代のエースとしてフィーチャーするようにも思えないため、少なくとも来シーズン前半戦までは「ホークスのスター」としてのヤングを見られると思う。ここでの戦績こそが、ホークスとヤングの将来を決定する。


注目新加入選手: ザカリー・リサシェー

ドラフト1位指名権を手にしたホークスは、ビッグウィングのザカリー・リサシェーを指名。ここ数年のドラフト生と比べてスーパースター級ではないとの噂もあるが、ホークスの今後を担う明確なキーマンであることに間違いはない。
リサシェーがいきなり最優秀ルーキー賞級の活躍を収めれば、ヤングと潤沢なロールプレイヤーを残したままプレーオフ争いを狙えるかもしれない。ただし、かつて在籍していた類似のビッグフォワード: ジョン・コリンズは最終的に放出されている。リサシェーがその二の舞になってしまう可能性も考えられる。


注目退団選手: デジョンテ・マレー

マレーとヤングの2大ガード体制はわずか2年で終了。ヤングの欠場期間を絶大なクラッチパフォーマンスで支えたマレーの放出、これは「勝ちたい」チームとしての動きならば疑問に思える。時にスタメン起用もされたベイが再契約を見送られたことも重なり、ロスターの底力は落ちたように感じる。しかし、これがかえってヤングの闘志を燃やし、オールスター選手へと回帰する火種ともなりうるか。


予想順位: 7〜10位



2. ボストン・セルティックス

☆予想メインローテーション10名(+HC)

PG J.ホリデー/P.プリチャード
SG D.ホワイト/B.シャイアマン
SF J.ブラウン/S.ハウザー
PF J.テイタム/A.ホーフォード
C K.ポルジンギス/Z.ティルマン

HC J.マズーラ

不動に漂う王者の威厳、五輪疲れの影響は?

昨季は脅威的なスタメン5人とおおむね健康なシーズンを過ごし、見事チャンピオンに輝いたセルティックス。そんな王者が連覇を狙うべくオフに行った補強は「現状維持」だった。賢明な判断に見えるが、直近に優勝したナゲッツ、ウォリアーズ、バックスは同じような現状維持に動き、いずれも2連覇に失敗している。
さらに、オフにはセルティックスの強靭なスタメン5人のうち3人がアメリカ代表としてパリ五輪に出場した。ここで溜まった疲労が、シーズン中にケガという形で現れてしまうかもしれない。なお、五輪不出場の2人のうち、ポルジンギスはケガしがちなことでも有名だ。


注目新加入選手: ベイラー・シャイアマン

チームの改造を小規模に抑えたセルティックスだが、チャンピオンの威厳を保つためには若手による底上げが重要となる。今年のドラフトで30位指名されたシャイアマンは、シューティングが売りで守備も怠らない4年生とのこと。同じく若手のウォルシュ、スプリンガーより歳上であり、即戦力化にも期待できるだろう。


注目退団選手コーチ: チャールズ・リー

失ったものは少ないように見えるセルティックスだが、オフに他チームからサム・キャセールらアシスタントコーチの引き抜きが狙われてしまい、最終的にチャールズ・リーがホーネッツでヘッドコーチに昇進することが決定した。
この損失による影響を推し量ることは難しいが、多角的な視点のうちひとつを失った痛手は明白だ。


予想順位: 4〜6位



3. ブルックリン・ネッツ

☆予想メインローテーション10名(+HC)

PG C.トーマス/D.シュルーダー
SG C.ジョンソン/D.ホワイトヘッド
SF D.フィニースミス/Z.ウィリアムズ
PF B.シモンズ/B.ボクダノビッチ
C N.クラクストン/D.シャープ

HC J.フェルナンデス

失った中核、長期構想に含まれるのは誰か?

ミケル・ブリッジス中心のチーム作りを銘打っていたネッツだが、彼を長らく近所付き合いの無かったニックスに放出して計画を白紙に戻した。代わりのスターを獲得することも無かったため、ネッツの来季は厳しい冬の時代となるだろう。
この冬眠期間は将来像の構想に充てられる。ロスターの取捨選択は重要で、問題児扱いされつつもスターオーラ全開なトーマスや、オフに大型再契約を行ったクラクストンでさえ売り出される可能性はある。ケガに泣き期待外れに終わりかけているシモンズの去就も含め、活発な売り手としての1年間に注目のチームだ。


注目(実質)新加入選手: ベン・シモンズ

ネッツが想定外の飛躍を遂げるためには、昨季ほぼまるまる欠場したシモンズの完全復活が望まれる。再建まっしぐらに思えるネッツだが、シモンズの再起に向けた足場については意外にも固まっている。ジョンソン、ボクダノビッチといったシューターはある程度揃っており、シモンズが得意なアシストを活かしやすい。課題であったスコアリングも、トーマスの台頭によりカバーできるはずだ。
本人が今後のNBAキャリアを引き延ばすためにも、ネッツのトレード財産を少しでも増やすためにも、シモンズのリブートは重要視されるだろう。


注目退団選手: ミケル・ブリッジス

昨季ほぼ全試合に出場したブリッジスだが、他チームに揃う理不尽なオールスターと比較すると物足りない部分が多かった。結果、ネッツは彼の価値が高いうちに将来の財産と交換し、まだ見ぬスターに賭ける方針を打ち立てることとなる。
ブリッジスの不在でさらに勢いを増しそうなのが、やはりトーマスだ。ルーキー延長契約を控える彼だが、かつてのディアンジェロ・ラッセルのようにオールスターに輝けば、来年のドラフトに失敗した場合の傷も浅く済むだろう。


予想順位: 11〜15位



4. シャーロット・ホーネッツ

☆予想メインローテーション10名(+HC)

PG L.ボール/T.マン
SG C.マーティン/J.グリーン
SF B.ミラー/G.ウィリアムズ
PF M.ブリッジス/T.サラーン
C M.ウィリアムズ/N.リチャーズ

HC C.リー

揃いつつある役者、目指すは「全員健康」

長らく再建に勤しんでいたホーネッツだが、昨季と一昨季はリーダーであるボールの怪我が災いし伸び悩んでいた。
しかし、この2年間でブリッジスやリチャーズの成長、ミラーやM.ウィリアムズの発掘、即戦力のG.ウィリアムズ獲得を果たし、遂にハイレベルで戦えるメンバーが揃い始めた。来季は6位指名のサラーンに若いハードワーカーのグリーンも加わり、いよいよドアマットからの脱出に期待できるシーズンとなりそうだ。
キーワードは「健康」、欠員はなるべく減らしたい。


注目(実質)新加入選手: ラメロ・ボール

昨季わずか22試合の出場に終わったボールだが、このスモールサンプル下でも23.9pts 8.0ast 1.8stlの好成績を記録している。ミラーやブリッジス、M.ウィリアムズら得点源にハードワーカーなウィング陣を揃えるホーネッツは、ボールによるコントロールでさらにスタッツを伸ばす可能性を秘めている。
ボレゴ、クリフォードに続く新HC: チャールズ・リーとの噛み合わせにも注目したい。


注目(実質)退団選手: ロジアー, ワシントン, ヘイワード

ホーネッツは下積み時代を支えたロジアー, ワシントン, ヘイワードらを昨季途中で放出した。昨年度2位指名のミラーが順当に活躍していることから、優勝標準をもう少し先の未来に見据えたのだろう。
しかし、この現状戦力放出はエース: ボールへの負担増大も意味する。ベテランが少ないぶん、クラッチシーンでの勝負強さは他チームに劣ってしまうかもしれない。


予想順位: 7〜10位



5. シカゴ・ブルズ

☆予想メインローテーション10名(+HC)

PG C.ホワイト/L.ボール
SG Z.ラビーン/A.ドスンム
SF J.ギディー/C.デュアルテ
PF P.ウィリアムズ/M.ブゼリス
C N.ブーチェビッチ/J.スミス

HC B.ドノバン

伸び始めた若手たち、時代はポストBig3へ

マルケネンを放出しデローザンとボールを獲得してから4年が経つブルズは、再び転換期を迎えることになるだろう。昨季絶不調にケガも重なったラビーン、オールスター級から離れつつあるブーチェビッチと裏腹に、ホワイトはスコアラーとして大躍進を遂げ、ドスンムとウィリアムズは名脇役としての地位を確立した。若手の顕著な伸びと元スターたちの衰退、さらにデローザンの退団を受けて、ブルズがシームレスな再建に臨む可能性は高いと考えられる。
しかし、現状では契約金の重いラビーンと高齢のブーチェビッチのトレード価値は低く見積もられている。今後の方針がどう転ぶにしろ、今一度かつてのスターたちの復権に期待したいところだ。


注目新加入選手: ジョシュ・ギディー

ブルズは将来への投資としてギディーを獲得した。サンダーではシューティング不良などによりチームに馴染めなかったが、ホワイトにラビーン、ブーチェビッチと攻撃の手札が多いブルズならばパサー役を果たすだけで大いに貢献できるはずだ。
しかし、ボールの復帰&復活が不透明な現状もあり、アシストに止まらない活躍を期待されているのは言うまでもない。来夏FA予定のため、今季の活躍は自身の契約金にも関わる。この新天地で一皮剥けたい。


注目退団選手: デマー・デローザン

勝負強さでチームを支えたデローザンがついに退団。この穴を埋めるスターパワーの出どころとして、ベテランのラビーンとブーチェビッチは再び支配力を取り戻す必要がある。これが叶わなければ、本格的に再建を検討することとなりそうだ。


予想順位: 11〜15位



6. クリーブランド・キャバリアーズ

☆予想メインローテーション10名(+HC)

PG D.ガーラント/I.オコロ(未契約)
SG D.ミッチェル/S.メリル
SF M.ストゥルス/C.レバート
PF E.モブリー/G.ニヤン
C J.アレン/D.ウェイド

HC K.アトキンソン

アトキンソンの魔術で競争力は高まるか

ミッチェルをエースとして以来上位に君臨し続けているキャバリアーズだが、肝心のプレーオフで毎年1回戦負けを喫している。この勝負弱さを是正するにあたり、チームはスター選手の獲得でなく指揮官の変更でアプローチした。西につづき群雄割拠となりつつある東にて、プレーオフ出場以上の夢を見られるチームへと変貌できるか。


注目新加入選手コーチ: ケニー・アトキンソン

アトキンソンが最初で最後のヘッドコーチを務めたチームは2016-20年のブルックリン・ネッツだ。ここで弱小チームをプレーオフへと導き一躍有名になったが、当時二大エースとして活躍していたのがディアンジェロ・ラッセルとスペンサー・ディンウィディーのガードコンビだった。
現在のキャバリアーズにも同じくガードのオールスター: ガーラントとミッチェルが存在し、当時の元同僚であるアレンとレバートもロスターに名を連ねる。さらに3rdオプションであったジョー・ハリスと類似のシューターであるストゥルスの所属も重なり、当時のリブートにはかなり期待できるだろう。
ネッツ退団後、名将スティーブ・カー率いるウォリアーズでアシスタントとして雇われ優勝も経験済み。手腕の信憑性は以前よりさらに増しているはずだ。


注目退団選手コーチ: JB・ビッカースタッフ

2019年から長期にわたりキャバリアーズを支えたビッカースタッフがついに解雇された。レギュラーシーズンの戦績は上々だったものの、プレーオフでの勝負弱さやモブリー、ガーラントらの扱い方などに疑問を持たれることが多々あった。モブリー&アレンのツインタワーを駆使した守備とガードにコントロールさせるゆったりとした攻撃が特徴であったが、この指揮官の交代で特にオフェンス面が大きく変貌すると思われる。ミッチェルの独力突破にアトキンソンのシステマティックなオフェンスが加われば、東の列強に申し分ない高火力をお見舞いできるだろう。


予想順位: 1〜3位



7. デトロイト・ピストンズ

☆予想メインローテーション10名(+HC)

PG C.カニンガム/M.サッサー
SG J.アイビー/M.ビーズリー
SF A.トンプソン/R.ホランド
PF T.ハリス/S.フォンテキオ
C J.デューレン/I.スチュワート

HC JB.ビッカースタッフ

元エースが凱旋、弱小脱却への第一歩となるか

ピストンズは2019年以来プレーオフを逃し続けており、この間スーパースター級選手の獲得や育成にも至っていない。カニンガムやアイビー、デューレンといった若い芽は育ちつつあるが、勝ちを手繰り寄せる決定力には未だ欠けたままだ。そこで、来季に向けた補強としてヤングコアの維持とヘッドコーチ変更、ベテランの増員が施された。依然として列強チームと比べると質素ではあるが、チームの中核をそろそろ固めておきたいところ。


注目新加入選手: トバイアス・ハリス

アンドレ・ドラモンドとブレイク・グリフィンの放出以来オールスター選手と縁がなかったが、遂にスターに引けを取らない得点源となれるハリスを獲得した。このスコアリング能力は若手の負担減に繋がり、カニンガムのポイントガードとしてのポテンシャルをさらに引き出すこととなるだろう。


注目退団選手コーチ: モンティ・ウィリアムズ

かつてフェニックス・サンズを弱小から準優勝チームへと引き上げた名将: モンティ・ウィリアムズはわずか1年の任期で解雇された。前任のドウェイン・ケーシー、前々任のスタン・バン・ガンディーらは4~5年間舵を託されていたことから、上層部や選手らと何かしらの不和があったとうかがえる。若いチームと苦楽をともにする新たなパートナーとしてビッカースタッフが任命されたが、同じ轍を踏むことは避けたい。


予想順位: 11〜15位



8. インディアナ・ペイサーズ

☆予想メインローテーション10名(+HC)

PG T.ハリバートン/TJ.マッコネル
SG A.ネイスミス/B.マサリン
SF O.トッピン/A.ネムハード
PF P.シアカム/I.ジャクソン
C M.ターナー/J.ワイズマン

HC R.カーライル

継続は力なり、爆速オフェンスで優勝圏内入りなるか

ハリバートンを新エースとして以来プレーオフに進出できていなかったが、シアカムがチームの味であった爆速オフェンスに良いスパイスとして加わると、久方ぶりのプレーオフ出場どころかバックス、ニックスら強豪を破り東カンファレンス決勝戦までうなぎ登り。勢いを確固たるモノにしたい来季はメンバーをほぼ継続して突き進むことになるが、課題の守備などが改善され再び優勝候補に躍り出るか注目だ。


注目新加入選手: ジェームズ・ワイズマン

ウォリアーズからドラフト2位指名を受けてNBA入りしたセブンフッターだが、キャリアの現状は正直期待外れだ。素材型と呼ばれ続けて早4年、そろそろ覚醒シーンを一見したい段階でのペイサーズ入団は功を奏すだろうか。元ブロック王: ターナーの下でディフェンス能力を開花させることができれば、チームのバックアップ役として大いに役立つはずだ。しかし、チームの持ち味であるテンポを落とす原因にもなりかねない。


注目退団選手: ダグ・マクダモット

ビクター・オラディポがエースだった頃のペイサーズを知るベテランのマクダモットは、新人枠の確保にともない再契約を敬遠された。戦力として大きな損失は無いと思われるが、比較的若いチームから古参が去ることでコート外の雰囲気に悪影響を及ぼさないか気になるところだ。


予想順位: 1〜3位



9. マイアミ・ヒート

☆予想メインローテーション10名(+HC)

PG T.ロジアー/A.バークス
SG T.ヒーロー/J.リチャードソン
SF J.バトラー/J.ハケス
PF D.ロビンソン/H.ハイスミス
C B.アデバヨ/N.ヨビッチ

HC E.スポールストラ

進むロスターの高齢化、「バトラー時代」の終焉に備えよ!

バトラーを迎えて以来レギュラーシーズンでの順位は安定しないものの、毎年なんとかプレーオフ出場は達成している。さらに二度ファイナル進出まで漕ぎ着けているが、どうしても優勝に一歩届かないのが現状だ。来季はバトラーが35歳となり、ケイレブ・マーティンやそれ以前から続く若手の流出が主力の高齢化に拍車をかけている。五輪に出場したアデバヨ、毎年ケガがちなヒーローの健康が保証されなければ、いきなり転換期を迎えても不思議ではない。


注目新加入選手: アレク・バークス

デロン・ライト、パティ・ミルズらベテランポイントガードとの再契約を見送った代わりに、よりスコアラーとして優れるバークスを獲得した。ロジアー、リチャードソンらとともに強力なバックコート得点力となりうるが、どの選手もパサーと言い難いのが心配だ。システムを必要としない強引な個人突破が、結果的に正解となるのだろうか。


注目退団選手: ケイレブ・マーティン

3年間ヒートの主力として活躍したマーティンは、不幸にもライバルチームであるシクサーズに引き抜かれた。マーティンは今後数年でキャリア絶頂期を迎えるであろうハードワーカーであり、この欠如は大きな損害となるだろう。代替策として若手のハケスやヨビッチがロールプレイヤーとしてさらに成長する必要があるが、この期待に応えられるだろうか。


予想順位: 4~6位



10. ミルウォーキー・バックス

☆予想メインローテーション10名(+HC)

PG D.リラード/D.ライト
SG G.トレント/P.カナトン
SF K.ミドルトン/A.ジャクソン
PF G.アデトクンポ/T.プリンス
C B.ロペス/B.ポーティス

HC D.リバース

激動の1年が終了、チームは安定軌道へ移れるか

2021年の優勝以来大きくチーム構成を変えなかったバックスだが、2023年のプレーオフ初戦敗退でしびれを切らし、昨季ついにリラードの獲得とマイク・ブーデンフォルツァー元HCの解雇に乗り切った。しかし、アデトクンポの欠場により再びプレーオフ初戦負けを喫してしまう。相手がライジングチームのペイサーズであったことも重なり、ファンや運営側のフラストレーションは溜まる一方であったと思われる。
チームの中核はそのままに、安価なベテラン勢の総入れ替えを行って迎える来季。ケガの少なくないエース2人の所存問わず強さを保てるチームとなるか。


注目新加入選手: ゲリー・トレント

リラードの元同僚であるトレントは、安価な契約金で大先輩の補助役に回ることを受け入れた。シューターとして重宝されていた選手だが、昨季終盤にはスリーポイントの決定率を落とし、ラプターズの選手として出場した最後のプレーオフでは35%をも下回った。当のバックスも、昨季は類似のシューター系スコアラーであるマリク・ビーズリーの活かし方に苦戦していたが、同じミスを起こさないか注目したい。


注目退団選手: パトリック・ベバリー

負けん気と守備力でチームの魂となったベバリーは、海外リーグへと飛び立った。リラード、トレントら守備が穴になりがちな選手の長期起用が予想される中で、ディフェンダーの退団は重たい。リバースHCと古くから付き合いのある人物でもあり、チームの統率力維持が懐疑的になる要因ともなりえる。


予想順位: 4〜6位



11. ニューヨーク・ニックス

☆予想メインローテーション10名(+HC)

PG J.ブランソン/M.マクブライド
SG J.ハート/D.ディビンチェンゾ
SF M.ブリッジス/OG.アヌノビー
PF J.ランドル/P.アチュワ
C M.ロビンソン/J.シムズ

HC T.シボドー

雑草魂のビラノバ・ニックス完成、優勝は目前か

ブランソン獲得から東上位に君臨し続けているニックスは、念願の優勝へもう一歩近づくためにブリッジスを迎え入れた。ブランソンにハート、ディビンチェンゾとビラノバ大出身のハードワーカーたちで構成されるニックスに、もう1人のビラノバファミリーが加わったのだ。この補強は単なる縁故採用に止まらず、2大エースであるブランソンとランドルの間を補完する的確な動きと言える。シボドー特有のスタメン酷使に耐えきれれば、優勝も夢ではないロスターだ。


注目新加入選手: ミカル・ブリッジス

前述のとおり、ブリッジスはブランソンとランドルを繋ぐウィングとして最適な選手だ。サンズ時代にデビン・ブッカーとディアンドレ・エイトンの中間を支える役割を既に果たしており、実績も十分である。また、欠場の少ない鉄人としても有名であるため、シボドーHCによる酷使を受けてもプレーオフまで耐え切れるはずだ。アヌノビーとともに贅沢なディフェンダー兼サブオプションとして重宝されるだろう。


注目退団選手: アイザイア・ハーテンスタイン

順風満帆に見えるニックスだが、ロビンソンの長期離脱をカバーしたハーテンスタインの流出は大きい。ケガがちなロビンソンが来季こそ本格出場できるかも怪しく、控えのシムズは未だ発展途上。センターロール可能なランドル、アヌノビー、アチュワもあくまでアンダーサイズな代替案であるため、シーズン中に高さが恋しくなる可能性は高い。ハードワークでのカバーが鍵となるか。


予想順位: 1~3位



12. オーランド・マジック

☆予想メインローテーション10名(+HC)

PG J.サッグス/A.ブラック
SG K.コールドウェルポープ/C.アンソニー
SF F.ワグナー/G.ハリス
PF P.バンケロ/J.アイザック
C W.カーター/M.ワグナー

HC J.モズリー

快進撃はたまたま?勝負強さが優勝のカギ

プレーオフ圏外から5位までいっきに順位を上げたマジックは、2023-24シーズン最大級のサプライズチームと化した。功労者はオールスターにまで成長したバンケロと言えるが、来季はこの快進撃がマグレでは無かったと証明するためのプレッシャーがのしかかる。
オフにはディアンジェロ・ラッセルやクレイ・トンプソンといったスター獲得が噂されたが、自チーム産の若手を中心とするロスター構成を変えることは無かった。この選択が凶と出るか吉と出るかは、F.ワグナーがバンケロと並ぶ準スター級まで成長できるかにかかっている。


注目新加入選手: ケンタビアス・コールドウェルポープ

コールドウェルポープは、レイカーズとナゲッツで優勝経験のある仕事人の3&D選手だ。サッグス、アイザックらの好守に支えられ見事守備レーティングNBA 2位を記録したマジックに、追い風を吹かせるような補強と言える。
プレーオフ出場が確固たるものとなれば、次に狙うべきことは本番強さの増進だ。信頼できるベテランのコールドウェルポープは、勝負どころで粘り強さを発揮できる存在として一役買うこととなるだろう。


注目退団選手: マーケル・フルツ

シクサーズによるドラフト1位指名後、イップスに悩まされキャリアが低迷していたフルツ。マジックへ放出されてから、肩の力が抜けNBA級のガードとして蘇ったのも記憶に新しいが、彼とマジックの6年目の共闘を見ることは叶わない。
再契約見送りの理由は昨プレーオフを見れば明白であるが、代替となるポイントガードは特別補強できていない。守備は固いが攻撃力が上がらず、ローテンポになってしまう傾向は昨季以前からある。この現状を打開すべく、シーズン中にビックトレードを起こすことも考えられるか。


予想順位: 7~10位



13. フィラデルフィア・セブンティシクサーズ

☆予想メインローテーション10名(+HC)

PG T.マクシー/K.ラウリー
SG C.マーティン/E.ゴードン
SF P.ジョージ/KJ.マーティン
PF K.ウーブレ/G.ヤブセレ
C J.エンビード/A.ドラモンド

HC N.ナース

スターダム再び!否めない高齢化問題の対処は如何に

ジミー・バトラーにジェームズ・ハーデンと、外部からスター選手が集まりやすい人気都市フィラデルフィア。金銭面に余裕のあった今オフ、シクサーズはジョージのスカウトに成功した。そのほか、ラウリーやゴードン、ドラモンドといった元スター級選手を揃え、さらにラストピースとしてフランス代表で著名なヤブセレと契約。大改革を遂げたオフとなった。
しかし、ロスターは明確に高齢化している。ジョージ、エンビードともに怪我の多い得点源でありながら、サポーティングキャストまで高齢によるガス欠が不安となると、レギュラーシーズンでの安定感に欠ける可能性がある。かつてのレイカーズ、ネッツのような「残念ビッグスリー」となることだけは避けたい。


注目新加入選手: ポール・ジョージ

約10年ぶりに東でプレーするジョージだが、マクシーやエンビードとのボールシェアがどうなるか必見だ。両者ともにボール保有時間が長めの選手だが、ジョージはクリッパーズにてカワイ・レナードやジェームズ・ハーデンといったスターとの共存に慣れているはずなので、過度に心配する必要はないだろう。
一方、健康面と老衰は気になるところだ。クリッパーズ在籍時はエンビードに似たケガ体質で毎年3~4割の試合を欠場、最後のプレーオフでは10年以上ぶりに平均得点が20.0を下回った。移籍により見込まれた負担減が、案外それほどでもなくなる可能性は否めない。


注目退団選手: トバイアス・ハリス

6シーズンに渡りシクサーズで活躍し続けたハリスが退団した。非オールスターながらMAX契約を勝ち取ったことでも話題になったが、エンビードとの親和性は最後まで疑問に残るままであった。
ジョージとの入れ違いで実質得点源交換のようになったが、ジョージはハリスに比べて小柄である。ナースHCがラプターズで優勝した際のロスターは「大きく、守れる」タイプの選手が多かったが、これに反して現在のロスターには大きめのウィングが少ない。以前放出したシモンズも大柄であったが、ふたたび高身長が恋しくなるシーズンとなるかもしれない。


予想順位: 7~10位



14. トロント・ラプターズ

☆予想メインローテーション10名(+HC)

PG I.クイックリー/D.ミッチェル
SG B.ブラウン/O.アバジ
SF RJ.バレット/G.ディック
PF S.バーンズ/C.ブーシェー
C J.パートル/K.オリニク

HC D.ラジャコビッチ

焼き畑から半年、新芽が伸びるまでの臥薪嘗胆

カワイ・レナードがもたらした栄華の優勝から5年、レナードにラウリー、バンブリートといった功労者や監督のニック・ナースを放出し続け、昨シーズン半ばでついにパスカル・シアカム、OG・アヌノビーとまで別れた。このトレードでクイックリーとバレットを得たが、以降15連敗を喫するなど苦いシーズンとなった。
一方、ドラフト4位指名で入団したバーンズがオールスターに選ばれるなど、再建の兆候自体は見られる。立地上フリーエージェントでの補強が難しいラプターズにとって、自家製の新芽は大切に育てたいものだ。


注目(実質)新加入選手: RJ・バレット

昨季途中で入団したバレットがラプターズとして出場した試合はわずか32試合。トレーニングキャンプすら積んでいない状況で平均21.8得点 6.4リバウンド 4.1アシストに4割近いスリーポイント確率と5.5割のフィールドゴール確率を記録したとなれば、来季もかなりの希望を持てる。
カナダ出身のバレットは今後フランチャイズの顔として成長する可能性を秘めている。デローザン二世として大切に育てていきたいところだ。


注目(実質)退団選手: パスカル・シアカム&OG・アヌノビー

前述のとおり、昨季途中でシアカムはペイサーズ、アヌノビーはニックスを新天地とすることになった。2人の放出はサイズ面で大きく影響しており、以前ラプターズの持ち味であった「大きさで守る」スタイルの面影はほぼ無くなった。
以来、スター性に欠けるのも悩みどころだ。バーンズが自身初のオールスターに選出されたものの、平均得点はオールスター中ワースト2位(ワースト1位はバム・アデバヨ)であった。バーンズの相棒として、もう1人スター級の得点源が欲しい。


予想順位: 11~15位



15. ワシントン・ウィザーズ

☆予想メインローテーション10名(+HC)

PG M.ブログドン/J.プール
SG C.キスパート/B.クリバリ
SF K.クズマ/S.ベイ
PF M.バグリー/R.ホームズ
C J.バランチュナス/A.サー

HC B.キーフ

中堅揃いのロスターでサプライズチームとなれるか

ジョン・ウォール&ブラッドリー・ビール体制以降低迷期が続くウィザーズだが、来季はここ数年内でもっとも中堅選手で潤ったシーズンとなりそうだ。
優勝季のレイカーズとウォリアーズに在籍したクズマとプールに続き、かつて6thマン賞に輝いたブログドン、元ドラフト2位指名のバグリー、強豪在籍経験の長いバランチュナスなど、スターの周りに固めたい選手が多い。しかし、裏を返せば「他チームがうらやむトレードターゲットが多い」と言えるため、再建のチャンスでもある。
現状では肝心のスターが居ないのが問題点だが、フランス産で素材型の若手: クリバリとサーがいきなり大躍進する可能性もある。未来へのシフトか現状戦力での勝利か、路線はシーズン中盤までに固まるだろうか。


注目新加入選手: アレックス・サー

サーは今年のドラフトで2位指名された、フランス産のセブンフッターだ。昨年度1位指名のビクター・ウェンバンヤマと同じく、大きさに見合わないハンドリングやスピード、多彩なショットセレクションを持つ選手である。
しかし、サマーリーグ中に15本のショットすべてを外した試合があったこともあり、やはり年齢に見合った荒削り感は否めない。大学でのプレー経験が無く、オーバータイムエリートからオーストラリアでプロになった珍しいキャリアの持ち主であることからも、活躍を疑問視する声がしばしば見られる。
いずれにしても、守備面ではすでにNBA環境級であることから、スターにはなれずとも戦力外に終わることは無いだろう。


注目退団選手: ダニ・アブディヤ

昨季飛躍的にスリーポイント精度が増し、得点数が上昇したことから今後を期待されていたアブディヤであったが、急遽ブレイザーズに引き抜かれた。ウィザーズのホープとして4年間活躍したアブディヤの損失は、ファンにとってかなりの苦痛だったことだろう。
アブディヤ以前に同じ生え抜きの八村も放出されているとおり、ウィザーズはトレードに積極的な姿勢で有名だ。毎年何かしらの動きを見せるチームであり、中堅揃いの来季も各チームから熱烈なオファーを受けるに違いない。


予想順位: 11~15位




ここから先は

0字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?