【船橋謙一の何でも人生相談】職場の人間関係について
総和運輸代表の船橋が、読者や社員からの悩み相談に答えていくコラムです。
仕事・プライベートにかかわらず社員のみなさんの悩みが少しでも解消され、みなさんのより良い人生と更なる成長につながることを願って定期的に綴っていきます。それでは一つ目の相談に答えていきます。
【質問】
「取引先、職場で苦手な人がいる。卑屈で愚痴が多く、一緒にいても気が滅入ることが多い。ただ、同じ仕事関係なので離れることができない。どうすればよいか。」(30代男性)
【答え】
私もこれまでドライバーという職種を経験し、身体的なストレスよりも心身的なストレスの方が負担が大きいことを理解しています。
人間関係のストレスは本当に心を疲弊させますよね。そこで、様々な論文や学術研究、歴史に基づく思想哲学などから智慧をお借りし、一般的ではありますが非常に効果的であった対処法をご紹介できたらと思います。
多くの方が日常に人間関係によるストレス・消耗を経験していますが、これに対しては、そのストレス・消耗・疲労を速やかに解消するスキルを身に着けてはどうでしょうか。例えば、簡単なストレッチや呼吸法です。
呼吸法は、4秒鼻からしっかり吸って、8秒口から心身をリラックスさせながらゆっくり吐く方法があります(順天堂大学小林弘幸教授、自律神経の権威が提唱する「長生き呼吸法」)。10回で2分くらいですが、ストレスの解消・リラクセーション・血液循環の改善・細胞の再生・疲労回復・免疫向上などに役立ち、広範な健康増進効果があります。
ちょっとした仕事の合間にもできますし、席を外して屋外でやることが出来れば、更に効果的でしょう。また、仕事の本番前の不安や緊張の解消にもなります(呼吸法によって不安や恐怖・怒りの感情を生じさせる脳の偏桃体の振動興奮を静めることができる)。そして、夜寝る前にやれば、安眠をもたらす効果があります。
これは、伝統的にはヨガの体操や呼吸法として行われてきましたが、ヨガブームのためか、最近は、お医者さんやスポーツ選手なども、取り入れるようになってきました。マラソンで有名な青山学院大学の選手や一部のお相撲さん、格闘技選手なども取り入れています。
こうして、より強い心身・エネルギッシュな自分を作ることは、人間関係に対処する上での土台になると思います。
あと、ストレスの解消や精神の安定に関係するのが、食事・運動・睡眠です。精神安定に繋がるセロトニンという脳内神経伝達物質がありますが、これが欠乏すると抑うつ状態にもなります。セロトニン分泌を十分なものにするには、①たんぱく質を含めたバランスの良い食事や、②20分ほどの日差しを浴びた散歩・歩行運動や、先ほど述べた呼吸法などのリズミカルな運動が、セロトニンを分泌させることが分かっています(良く食事を咀嚼することなど)。
また、セロトニンは、メラトニンという睡眠誘導効果もった物質の分泌にもつながり、安眠効果をもたらします。睡眠が深くなれば、その分、エネルギッシュになります。以上が食事・運動・睡眠の改善によるストレス・疲労の予防や解消です。
次に、貴方がその人に苦手意識を感じ、気が滅入ると言うことであれば、もしかすると、貴方にも、どこかしら彼と似た傾向があって、そのために彼に巻き込まれてしまう面があるのではないでしょうか。普段から卑屈や愚痴などなく、自分にも他人にも、前向き・肯定的・積極的な人であるならば、相手が可哀そうに思えても、気が滅入るとか、苦手と感じることはないかもしれません。
心理的に、人は自分と他人を区別すると、嫌悪感がわきやすくなります。特に自分と同じ問題を共有する相手には同族嫌悪と言った強い嫌悪が生じるとされます(親族間の近親憎悪も同じ精神構造によると思われます)。普段から自分が嫌悪して見ないようにしている自分の性格と似たものを他人に見てしまうと、普段の嫌悪がばねのように効いて強い嫌悪が生じる仕組みです。
このことを自覚すると、相手への嫌悪感・否定的な気持ちは和らぎます。嫌悪感は自分と他人を過剰に区別することによって生じる場合が多いのです。そして、その人は、貴方にとって一種の「自分の鏡」であって、そうしたタイプの性格・言動が、他人に与える否定的な影響などを含めて教えてくれる貴重な「反面教師」であると考えることもできます。
人は、他人は客観視できますが、自分を客観視するのは苦手です。そのために嫌悪を感じる他人と自分の類似点に気づかないことが少なくありません。先ほど自分の鏡という言葉を使いましたが、自分の顔は鏡がなければ見ることができないことと似ています。
その意味で、他人が自分と似た性格をもって、自分の鏡のような存在であることに気づくならば、そうした他人を身近に持つことは、自分の問題をより深く理解し、修正していくための大きな助けになることが分かり、相手への感謝にも繋がる可能性が出てきます。それをきっかけに、心理学を学ぶなどして、卑屈・愚痴が多い人を含めて、その心理的な原因や、緩和する方法も含めて、学んでみるのも良いかもしれません。
また、直ちには自分と似た面があるとは思えなくても、長い人生の中では、自分が、いつしかその人と似た精神状態に陥ったり、身の回りの人が、そのようになる可能性もあるかもしれません。こうして、その人との人間関係は、心の持ち方によって、色々な意味で貴方の利益になることが分かると思います。自分のためになると分かれば、その人との付き合いによる労苦は、価値があるものと考えられて、ストレス・疲労感も和らぐでしょう。
一般的に言って、優れた人、劣った人を含めて、様々な人との出会いは、自分にとっては、見本となる教師や、反面教師との出会いと考えることができます。しかし、一般に、人は、自他の優劣の差が気になる競争社会の影響かもしれませんが、自分と他人を過剰に区別し過ぎる傾向があり、優れた人は見本ではなく、妬みの対象となり、劣った人は反面教師ではなく、蔑視・嫌悪・迷惑を感じる対象になることが多いと思います。これは自分の成長のためにはマイナスです。
他人をなるべく教師や反面教師と見て学びの対象と位置づけて、人間関係に前向きになることは、自分の成長に役立ち、他人に前向きで寛大な心の働きを培い、人間関係の円滑化に役立つと思います(更には、脳科学的に言えば、自分の心身の健康や知性の向上にも役立つとされています)。
良い一日をお過ごしください。
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