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『剣岳、見参!』7、剣沢キャンプ場から剣山荘までの間に怪我をした件

私は弁当を食べると剣沢キャンプ場へ降りていった。キャンプ場を過ぎると雪渓がありそこを慎重に渡った。その前だったかあとだったか忘れたが私はずるりと足を滑らせ尻もちをついた。その際に左手を地面についたが、そこがざらざらした石で傾斜があったため、手をついたままずるりと下に滑った。そのとき左手親指の皮が剥けて血が出てしまった。私は絆創膏を探したがザックの中になかった。血はぷっくりと膨らんでくる。私はどうしようか、剣山荘に着いたら水で流そうか。そして、私はとりあえず止血するものがないから手袋をはめようと思い左手だけ手袋をはめた。しかし、なんとなく嫌で、手袋は外し、「自然治癒」に委ねることにした。なにかあったときの備えは必要だと左手親指にジンジンする感覚を意識しながら反省した。
そして、剣山荘に着いた。予定より四十分早い到着だった。表に出ていると聞いていた水が出ていなかったのでそこで傷口を洗うことは諦めた。私は受付を済ませた。部屋の前に棚がありそこにデポしていくザックを置くように言われた。私はアタックザックに五百ミリのペットボトルの水二本とコーヒーの入った五百ミリ水筒を一本持って、食料はレーズンパン一袋とカロリーメイトを二箱持った。あとは雨具を入れた。防寒着、ツエルトは置いていくことにした。万が一のときの備えを持って行くのではなく、備えを持ったために重量が重くなりリスクとなるのを避ける方を選んだ。手袋は持って行くが、たぶんはめないだろうと思った。なぜなら素手の方が、岩の感触を確かめることができ安全だと思ったからだ。これは素人的な考えだろうか?私は岩登りというものをあまりしたことがない。手袋を信じることはできなかった。

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