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カンボジアで乳がんになるvol.4. 検査結果の日@bangkok

シコリに気づいてバンコクで検査した結果が出た日、7月2日の記録。
癌だとはほぼ思っていなかった。

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検査結果を聞くために7月2日の朝便でシェムリアップを出て、バンコクに着いてそのまま病院へ。


10日前に痛めた膝が全然良くならないので乳腺外科の受診の前に整形外科へ。レントゲンをとってもわからないので、MRIを撮ることに。MRIが終わってすぐに乳腺外科へ。

診察室に入って先生がカルテを見て言葉を発した瞬間、言われてないけれど、あぁ癌だったんだぁと思った。人って言葉を使わなくても伝える力があるんだなぁと変なところで感心しながら、先生の次の言葉を待つ。

「悪性の腫瘍でした。乳がん、ステージ2です」

左胸に3.05cmの悪性腫瘍、左脇の腫瘍は針生検の結果小さすぎてまだ判断できていません。大きさは5-8mm程度。左胸の腫瘍を切除する手術をする際に脇の腫瘍の細胞をとって再度検査します。

数値を見ると、転移の可能性は極めて低く、進行も遅いです。

治療方法としては
①左胸乳房全切除+放射線治療(30−40%)
オプション1;乳房全切除のみ
オプション2;乳房全切除後、お腹の脂肪を入れる→右胸と同じ大きさにはできない
オプション3;乳房全切除後、シリコンを左胸に入れる→右胸とバランスを取れる

 放射線治療は術後の状況による。

②腫瘍部分切除+放射線治療(100%)
腫瘍は3.05cmだが、その周りも切除するので5cmは切除する。放射線治療は必須

ここまで説明してくれてから先生から
「今の段階でどの方法がいいと思いますか?」と聞かれたので
適当に「全切除+お腹の脂肪ですね」と答えると、ちょっとベッドに横になってくれる?と言われて横になると先生が私のお腹の脂肪をチェック。
「脂肪がそんなに多くないのでこれだと右胸の大きさにはならないわね」と。

脂肪が多くないという言葉は女性としては嬉しいけれど、左胸に足りないと言われると
また複雑な気持ち。

「じゃぁ、先生、手術までに脂肪と糖分をたくさん摂ってお腹にたっぷり脂肪つけてきます!」って言ったら、先生は笑って「脂肪よりタンパク質を摂ってきてね、傷口を早く治すにはタンパク質が大事だからね」と。

30分くらい丁寧に説明してくださった後に
「私、16時から手術が一つ入っていて、17時30分には終わるのでそれまで待っててくれる?夕飯でも食べてて。その間にどの治療法にするか決めておいて」と。

えー、1時間でしかもご飯食べながら手術の方法を決定するの?!笑笑
先生にとっては日常のことなんだろうけど、私にとっては人生初の決断。かなりのハードタスクを与えられる。

とりあえず診察室を出てひと呼吸。
バンコクにいる親友に癌だったと連絡をいれた。

膝の痛みでMRIを撮っていたのでその検査結果を聞くために整形外科の外来に行くと、すぐに診察室に呼ばれ、先生がMRIの結果を説明してくれた。けれど、先ほどの癌宣告のせいで全然説明が頭に入ってこない。膝の半月板が損傷していて、その治療としてプラズマ療法(自分の血液に含まれる血小板を膝に注射する方法)を先生は勧めてきて、簡単に終わる治療だからいつやりますか?とスケジュールを確認し始めたので、「今、乳腺外科の診察が終わって、乳がんステージ2で手術をすることになっていて、そちらのスケジュールも決まっていないので今は膝の治療のことが考えられないです」と伝えた。
先生もすごく納得顔で、これは緊急ではないのでまた改めて予約を入れてくださいということで診察終了。

診察室を出るとバンコク在住の親友、チコちゃんが待っててくれた。癌の診断を受けてすぐ彼女にLINEして、10分も経ってないのに病院まで飛んできてくれた。有難い友人。

乳腺外科の外来に戻って2人でいろんな話しながら先生の手術が終わるのを待つ。
「身体を切ってまで治療したくないなぁ」という気持ちが強く、外科手術にすごく抵抗感。先生には全切除か部分切除という、完全に切ることが大前提の選択肢を与えられたけれど、どちらも選びたくないというのがその時の気持ち。

18時くらいに先生が手術から戻ってきて再度診察室へ。

先生から、「決まりましたか?全切除?部分切除?」
決まらない。。。。決められない。。。。
体を切るってどんな感じ?切ったあとどうなるの?お腹の脂肪を取るって、そんな簡単な話?シリコン入れるって体に異物入れるんでしょ???
想像したこともない世界に突入するのに私に与えられた時間はたった1時間って。ずいぶん酷な話。でも多くのがん患者さんが通ってきた道なんだろうな。

先生に伝えた。
「今はまだ決められないです。先日父が亡くなり、来週法要で日本にいく予定が入っていて、今すぐに手術を受けることもできないし、21日に日本から戻るのでそれからどうするかをお返事してもいいですか?」
先生もすぐに理解してくれて、「では23日に再度予約入れておくのでまたお会いしてお話ししましょう」ということになり、その日の診療は終了。

人生初の経験をした後は、親友と居酒屋で乾杯?
自分が癌だとは思っていなかったけれど、人生はいろんなことが起きるものでその起きた事象をどう受け取るかは自分次第だと常々考えてきた人生だったのでそれほど感情的にもならず、これから何を選択してどうするか?自分はどうしたいのか?ということに気持ちが向いていた。

この時にいちばん強かった気持ち。
「50年の人生、やりたいこと好きなことめいいっぱいやってきた。これで終わりでも悔い無いなぁ。この先どうしてもやりたいことはあるだろうかと考えると身体を切ってまでやりたいと思えることはない。十分生きてきた。手術は受けない」



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