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FoundryとDesign houseの関係

はじめに

 新聞記事等で紹介されているFoundryとは何かをもう少し突っ込んでまとめておきたいと思います。Foundryそれ自体は色々なところで書かれているので、そちらに関してはあまり触れません。それよりもDeisgn Houseとの関係性をもう少し詳しく突っ込んで書いておきたいと思います。ここで言うDesign Houseというのは半導体工場は持っておらず、半導体の設計のみをし半導体製造を行う会社のことです。有名どころですとAppleやNVIDIAとなります。Foundryの有名どころはTSMCやUMCやGlobal Foundriesとなります。

全体像

 最初に全体像の把握をしていきましょう。

Fig.1 全体像

 従来のFoundryはDesign Dataを受け取りMaskを作成し、半導体チップを作成するまででした。一部ではダイシングもしていましたが、パッケージはしていませんでした。最近は、3D集積したパッケージ開発もFoundryの方でSupportしており、この部分も含めてFoundryとして受託している場合が増えてきました。
 ここで重要なのがDesign HouseがDesignのDataをどのように作成して、渡した後にどのようにFoundryと協力して半導体チップを作成するかで。この部分はあまり語られていないのでまとめてみます。

Design方法とその後のやり取り

全体像把握

 まずはDesign Houseとしてどのような設計・製造手法があるかを見てみます。後ほど説明をしていきます。

Fig.2 設計方法の全体像

Standard IP

 Foundry側で標準的または、サードパーティーのIPでもFoundryとして認証を受けたIPのことをStandard IPと言います。かなりの量のIPが提供されています。
 ここで重要なのは、Foundry側で認証を受けているというところです。つまりFoundry側がすでに動作確認や歩留最適化を実施済みで、Design Houseはそれらを使えば特性や歩留がある程度保証されているというところです。つまり、Design House側はどのIPを組み合わせて、自分たちの要求仕様に合うように設計すれば良いかだけ考えれば良いのです。仕様書と簡単なインプリメントだけで設計が終了するので低価格のマイコン等はこの手法で設計されていると思います。
 Foundry側は使用されているIPをDesign Dataから抽出し、使用した分だけ課金していく仕組みとなります。

Custom IP

 自分たちで回路を設計、またはサードパーティのIPをベースに改変したりしてStandardとは異なるIPを使用しDesignをする場合になります。Standard IPの制限がなくなるので、自分たちが実現したい特性になるように追い込んだ回路設計をすることができます。このCustom IPも実はさらに2つに分けることができます。

Standard Processを使用したCustom IP

 Foundry側ではStandard IPを作る際にStandard processというものを構築します。つまり当たり障りがなく使い勝手が良いプロセスのことです。このStandard Processが提供するPDKの範疇でCustom IPを設計する手法のことです。大半のDesign houseはこの手法をとっているのではと思います。

Advanced Processを使用したCustom IP

 Foundry側のStandard processとは別に、その製品を製造するだけの目的で特殊な製造processを構築してもらい、そのプロセスを用いて自分たちの独自の設計をするという手法です。こうなってくると自分たちが工場をもった方が良さそうに見えますが、固定費や初期投資等を考えるとFoundryに委託した方が安いのだろうと思います。
 まだ、世界中で誰も生産したことがないProcessを用いて製品をDeisgnする場合はこの手法しかないです。この場合、DRからトランジスタの特性値の狙い値まで全てをDesign houseの方で管理または定義する必要があるのでDesign houseでありながらFoundry経験者やDevice設計者が在籍していたりします。

まとめ

 今回はFoundryに関して簡単にまとめました。読者のご理解とご興味が持てたらと思います。もっと詳しく知りたいという人はコメントお願いします。

アメリカSilicon Valley在住のエンジニアです。日本企業から突然アメリカ企業に転職して気が付いた事や知って役に立った事を書いています。