毎日ワイン1本飲みながら、糖尿病を治す方法。

ぼくはここ3年ほど2か月に1回、艶やかな髪と綺麗な顔で心優しい糖尿病内科の女医さんと、そして髪や肌の色艶もいい明るく親切で気の軽い栄養指導の女性の先生とお話する機会を持っている。彼女たちと面談するまえに、ぼくは尿検査と血液検査をおこない、そのデータが彼女たちとの会話のベースになる。3年まえ、治療がはじまったときぼくのHbA1c は72だった。女医さんはぼくに訊ねた、「薬理治療に入りますか? それとも運動したり食事を気遣ったりして、経過観察にしますか?」ぼくは即答した、「がんばって自分で治します!」


自分がなぜ糖尿病境界例になったか? その理由はすぐにわかった。ぼくは2014年のはじめから2020年まで近所の南インドレストランの土日ランチブッフェのお手伝い(黒板へのメニュー書き、料理に添える料理名プレートの準備など)をヴォランティアでしていて、その対価としておいしい料理をたらふく食べていた。ただでさえおいしいのに、仲間が作っているゆえますますおいしい。かぐわしいラッサム、滋味ゆたかなサンバル、リッチな香りのマトンカレー、揚げたてふかふかのワダ、タピオカをココナツミルクで煮たスウィーツ・・・。しかも、ランチ営業が終われば、気のいいインド人料理人はぼくにポリエチレンの袋にビリヤニやパロタをつめて持たせてくれるのだ。



そんな楽しい週末を続け、しかもぼくは毎日赤ワイン1本以上飲む。もともと身長170センチ72キロていどだったぼくの体重はあっというまに85キロ~88キロあたりを揺れ動くことになった。いや、90キロを越えたことさえあった。夏にはいくらか股ずれに悩まされた。こんな暮らしを5年も続けているうちに、HbA1c は72になっていた。あたりまえじゃないか、おまえはバカなのか、そんな声が聞こえてくる。おっしゃるとおりです。


糖尿病とは糖代謝障害である。糖代謝は細胞内のミトコンドリアがおこなうクエン酸回路がまわることによってなされる。なお、このややこしいメカニズムを解説する知力はぼくにはない。ただしクエン酸回路がうまく回っていないならば、ヴィタミンB1やCを補給することで、回復が期待できる。なお、ヴィタミン&ミネラルはまんべんなく摂取してこそ効果を発揮できる。(すなわちA、B群、C、D、E、鉄、亜鉛、マグネシウムのすべてである。)とくにマグネシウムの糖尿病治療寄与は大きく、インスリンがブドウ糖を細胞に取り込むにあたってマグネシウムが必要になるからである。(なお、マグネシウムには種類があって塩化マグネシウムは下剤であって糖尿病には効果がありません。摂取すべきは酸化マグネシウムです。)こうしてぼくは、もともと好意を寄せていた分子栄養学をあらためて学び、試してみるようになった。もちろん食事も野菜を大量に食べ、肉を控え、野菜:肉の比率を7:3ていどにして、ときどき1日18時間断食をはさむようにはなった。ただし、毎日赤ワイン1本以上飲むことをぼくがやめられるわけがない。安いチリワインと言えども、ワインのない暮らしなど考えられない。また、ぼくは街をうろつくことこそ好きだけれど、しかし、運動習慣などまったくない。


しかし、その後ぼくのHbA1c は(ときに乱高下をはさみながらも)おおむね順調に下がっていって、一時は5.6まで下がったものだ。いまは6.2です。体重は75キロから77キロあたりをうろうろしています。



ふたりの美女先生にぼくは正直に、自分の飲食生活および分子生物学的アプローチを報告しています。こうしてぼくは彼女たちにとって、興味しんしんの異例の患者になった。病院嫌いのぼくは、二か月に一回彼女たちに会うのがたのしみになった。病院に行く日にも、きょうはどんな服着て行こうかな、とにこにこ考えるようにさえなった。


もっとも、ヒトの体には個人差があるゆえ、ぼくに効いた治療が果たしてあなたにも効くかどうか、それは保障の限りではありません。ただし、それであってなお、分子栄養学は十分に検討の価値があります。どうぞ、あくまでもご参考までに。



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