見出し画像

どうして移民排斥運動の象徴が『いつも愛してる』なの???

近年英国でもドイツでも移民排斥運動The Anti-Immigrant Movement が危険なほど盛り上がっていますね。ここではドイツの話をしましょう。



メルケル首相時代の2015年、ドイツは「対立ではなく協力を!」をスローガンに移民受け入れを無制限におこなった。シリア、アフガニスタン、イラク、ハンガリー、近年はウクライナからの難民がドイツにあふれるようになった。メルケルは高らかに宣言した、「わたしたちは変わるのだ」。メルケルは、ナチスドイツ時代のユダヤ人大虐殺によって汚名を着せられたドイツを、理想の国としようと試みた。心あるドイツ国民もこれに賛同した。



しかし、無制限に移民を入れてしまえば、治安は悪化し、社会に軋轢も増えるもの。いまでは、ドイツ人たちも2015年の失敗を繰り返してはならない、と考えるようになった。



それどころか新しい政党AfD(アー・エフ・デー:Alternative für Deutschlandードイツのための選択肢)にいたっては、北アフリカに最大200万人のモデル国家を作って、ドイツに巣くっている移民ども追い出してそこに連中を住まわせちゃえ、と過激きわまりない政策をぶち上げています。



さて、驚くべきことにいつのまにかこの移民排斥運動の象徴になっている歌が、イタリアのDJ、Gigi D'Agostinoの、L’Amour Toujours (I’ll Fly With You)なのだ。え? どうしてこの歌が!?? いかにもがレイブパーティで盛り上がりそうなハッピーで能天気な曲で、1999年からずっとしたしまれている曲です。歌詞はこんなふう。「毎晩わたしは夢を見る、あなたと一緒にいる夢を。わたしはあなたと一緒に空を飛ぶ。わたしはあなたと一緒に空を飛ぶ。」どこに移民排斥運動のメッセージがあるの??? そんなもん、どこにもない。しかし、極右政党と呼ばれもするAfD(アー・エフ・デー:ドイツのための選択肢)は、この歌を移民排斥運動の象徴として活用し、極右マニュフェストをポップなイメージに包み込み、保守派のドイツ人の共感をも取り込みつつあるらしい。政治によるポップの活用である。余談ながら、リャンファンさん(蓮舫さん)にはこういうセンスがありませんでしたね。



他方、ドイツのラジオ局はこの曲を暴動を煽るものとして放送禁止としています。




しかし、Gigi D'Agostinoにとっては、とんだ迷惑である、おれの歌でなんてことしやがんだ!?? まるでおれの歌じたいが極右メッセージみたいなことになってるやん! ひどい冤罪やで。ほんま堪忍して欲しいわ。しかしな、おれは負けへんで。おれはこの曲をプレイすることをゼッタイやめへんで。




なお、ぼく自身はメルケルさんに深い興味と関心を抱いている。しかしながら、いまヨーロッパは、2015年における彼女の選択のツケを払わされています。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?