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西田哲学から大乗仏教の教えを見る

大乗仏教には、『空』という教えがあります。これは

「私達が見ているモノは、色々な縁が集まったからできている。特定の実体はなく『空』である。」

という発想です。ここから出てくるのは

(キリスト教のように)
絶対の善や悪はない

という発想です。

これを西田哲学の世界観で見ると

歴史的世界で過去から
未来への色々な関わり
によって
固定したモノなど無い

と表現できます。

しかしながら、現実の世界には、色々なモノがあるし、社会生活を営む上では、一応「善悪」の判定は必要です。こう言うモノがあるというのが『仮』と言う発想です。

さて、これを西田哲学では、『一般者』という概念で、上手く扱っています。この『一般者』は、西洋文明の『イデア』などとは、根本的な違いがあります。つまり

『イデア』は絶対の真理的存在
『一般者』は便利だから使う

と言う違いです。これを「善悪」で言うと

神の審判で決まる「善悪」
社会の都合で決めた「善悪」

となります。

そこで『一般者』は、その場しのぎのモノだから、存在しないと決め付けるのが『空』の立場です。一方、現実にあると強弁するのが『仮』の立場です。

確かに、厳密に言えば、世界は時々刻々と変化します。それでも、色々の立場で考えるて「善悪」等の概念を、多くの人が認めるなら、それを使うというのが『中』の立場です。関連した議論でも、矛盾無く使える概念は『一般者』とし使える。これが西田哲学の発想の一つです。西洋文明の『イデア』の理想化や、絶対化はしない『一般者』という中間的な立場は、豊かな発想を生み出すと思います。

さて、このような世界の変化に対して

全てを見通す仏の智慧

が存在するというのが『中道第一義』です。全ての世界とそこにいる衆生を見て

それぞれにふさわしい法を説く

のが仏の智慧です。このような智慧を、私達も持てる、これが大乗仏教の本当の教えだと思います。

『空』『仮』『中』については以下のnoteを
『空』『仮』『中』の教えについて|鈴木良実 (note.com)
仏の智慧については以下のnoteを
仏の智慧をテトラレンマで説明(改訂)|鈴木良実 (note.com)
そして、西田哲学の世界観は以下のnoteも参考にして下さい。
西田哲学の実用化ー創造性ー|鈴木良実 (note.com)


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