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歴史の勉強と小説について

 先ほど、読売テレビの「そこまで言って委員会NP」を見ていたら、司馬史観の話が出ていた。

 この番組では

「司馬遼太郎の作品はエンターテインメントであり、歴史の勉強とは別」

と言う結論であった。

 私は、このように

「小説を、小説として扱う」

姿勢は大事なことだと思う。しかしながら、この番組で

「司馬遼太郎の小説に触れていたら、歴史で赤点を取らずにすんだ」

と言う発言があった。

 確かに、現在の高校までの歴史教育は、あまりにも無味乾燥なので、小説の力で興味を引くことは有効だと思う。しかしながら、小説で取り上げる題材には

「読者が興味を引く話」

が多くなる。例えば、『坂の上の雲』で、秋山騎兵とコザック騎兵の戦いの話がある。同書では、派手な騎兵の場上での決戦を望んでいたが

「秋山騎兵は、コザック騎兵より弱いので、地味な籠城戦法をとった」

と書いている。確かに小説的には、騎兵同士の馬上線は、華があるかもしれない。しかしながら、秋山騎兵の採用した

「野戦で即席の障害物を作り、機関銃で迎え撃つ」

発想は、当時としては優れた発想であり、馬の運搬力を高度に活かしている。また見方を変えれば、長篠の戦いの再現でもある。長篠の戦いは、鉄砲の集中運用で有名だが、馬防柵の野戦築城も注目すべき手法である。

 こうした、小説のために、華を選んだ物語は、歴史の勉強には不適当かもしれない。

 なお、司馬遼太郎氏も、明治以降の陸軍の教育の影響を受け

「正攻法の長篠より桶狭間の奇襲」

を重視する傾向があった。

この点に関しては、別途裏面を書いてみた。

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=15538672

 


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