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人工知能についての神学的議論(5仏の智慧を実現)

人工知能についての神学的議論(3仏の智慧を得る)|鈴木良実|note
では、主に

仏の智慧の力

について書きました。

今回は、仏の智慧の実現方法について考えます。

大乗仏教の考える仏の智慧は

  1. 現実社会と感覚を通じて対応する成所作智

  2. 意識の上で考える妙観察智

  3. 自分と他人の自我を認める平等性智

  4. 全てが記憶されているアラヤ識を扱う大円境智

  5. これらを統括する法界体性智

と言う、5つの側面があります。

私達が「知恵」と考えているのは

意識の上で法則性を見いだす妙観察智

です。

一方、人によっては

色々な前例を思い出す

力が強い人がいます。このような人は、大円鏡智が働くでしょう。また現在なら

データベースやネットから検索

を上手にする人も、こうした力があると言えるでしょう。

さて、残りの、成所作智、平等性智、法界体性智の働きは、認識している人が少ないでしょう。

まず「成所作智」は、文字通り

現実で成し遂げる智慧

です。意識の上での理論的な検討は、理想的な条件で考えます。喩えて言えば

地図の上で道を考える

ようなものです。しかしながら、現実に道を造るためには

現地の状況を色々検討し
その上で色々と対応

する智慧が必要です。

次に「平等性智」は

誰にも仏の性がある

と見る智慧です。これだけでは、人工知能への活かし方が見えないでしょう。しかし

他人の心も仏の心
つまり
他人の心も解る

という智慧と考えると

多様性複雑性を認めた上で
人の心のシミュレーションができる

可能性が広がります。現実の状況をみて、色々なシナリオを想定し、予測してみる。この時に、生き生きとした人を想像します。また、対話などに於いて、相手が何を感じるか、思いやることができる。こうした、意識の理論世界で考える「抽象的・理想的」な人でなく

生きた人格を想定して考える

ことで、血の通った検討ができます。

最後に『法界体性智』は、今までの四つの智慧を、全てコントロールし、まとめます。これは、実際の経験や知識を活かすという場面を考えると、この智慧の大切さが解ります。

例えば、学問的に一つの知識を教えられたとします。これは、意識の世界ですので『妙観察智』が扱います。しかし、今までの経験を『大円鏡智』から思い出し、当てはまるモノがあるか、考えます。直接当てはまらなくても、それらをモデル化して、動かすとき『平等性智』が働きます。こうして検討しても、現実に対応すると『成所作智』で修正が必要になります。旨くいくと、こうして、四つの智慧は、お互いに作用しながら、知識を増やし活かす方向で動きます。

このような四つの智慧を、コントロールし、調整し、満足できると収束の判定をするのが『法界体性智』の働きです。

このような、理論面と、現実化のあるモノでのシミュレーション、実行時の応用力、そしてそれら全てを観て、調整する力、これを実現する「人工知能」を造れば、今まで以上の働きが出来るでしょう。

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