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あんのこと

映画感想文が続きます。

これも稲垣吾郎さんがご出演でなければ見ていなかったかな、と思います。
理由は、見る前からキツイことが分かったから。
前日から共感力をオフにしようと試みて。
出来る限り平常心を保てるように。

でもこの努力は虚しく終わる。
そういう映画です。

それでも今、見てよかったと思える。
そういう映画。

結末が想定外だったことは大きい。
出演者の演技が自然すぎて、ドキュメンタリーをみているような錯覚さえ覚えました。

実際にあった事件、それに関するものかどうかは不明ですが、入江監督が、とある記事を読んだ事から映画の着想を得ているということです。

それで私は、見る前から、こういった「状況」に対して、
「何が出来るかするべきか、果たして私はその時何をしていたか」
そういったことを突きつけられるのだと、見ている最中にも、ラストに差し掛かるまでも、頭のどこかでそれを気にしながら見ていたような気がします。
けれど最後には、その全てが吹き飛んでしまい、大粒の涙がポロポロとこぼれました。

私が映画からくみとったものは、ラストへ向かう中にありましたが、何をクローズアップするのかは、人によって違うのかも知れないと思います。

数日たって気がつくことも多く。
狂気の中の更なる違和感の中に、大粒の涙の理由があったと気がつき、また涙。
この思い出し泣きはいつまで続くんだろうか。
そんな映画でした。

ゴローちゃんは清涼剤でした。
ゴローちゃんがいなかったら最後まで見れなかったかも。
知らない人々の群れに放り出され不安な中で、ようやく知っている人を見つけた時の安堵感のように、なんとも懐かしい気がして。
ゴローちゃん、頼もしかった。
杏ちゃんにとっての多々羅刑事のような存在、という感じです。

ブルーハーツの情熱の薔薇を歌っていたのは、どなたの案なのでしょう。
“涙は心のずっと奥の方から出てくる”
という歌詞のニュアンスに、「碁盤斬り」鑑賞時に感じたことがオーバーラップするというミラクル。

号泣もののラストが終わってみれば、ミッドナイトスワンとも響き合っていました。

最近見た映画の監督さんは、私よりお若い方ばかり。
おかげさまで、映画の制作側への関心も高まっております。

最近映画館で観た3作、本当に素晴らしい映画でした。

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