【逃げ上手の若君】ngwk感想文0_管理用一覧

 2024年6月を費やし「逃げ上手の若君」を読了した(単行本で既刊15巻まで)(連載中作品)。なんかアニメも始まってて評価良さげ。盛り上がってるぽい。楽しいね。われながらいい時期にいい作品にハマれたと思い、これを書いている。

※単行本15巻までの内容が前提の記事で、ネタバレ要素含む可能性があります。


[ngwk感想文]の一覧

[【逃げ上手の若君】ngwk感想文0_管理用一覧]
当記事

[ngwk感想文1_1~4巻]
「逃げ上手の若君」を単行本の1~4巻まで読了した。前情報なしの初読感想、および振り返っての所感、まとめ。


[ngwk感想文2_5~8巻]

[ngwk感想文3_9~11巻]

[ngwk感想文4_12~13巻]

[ngwk感想文5_14~15巻]

[ngwk感想文6_吹雪を見ること]
吹雪に関して腑に落ちなかった点を精査している。彼は、ものを感じるたちらしい。

[ngwk感想文7_神力の話をする]
逃げ若では、雫と玄蕃、上杉さんと似たところがあるみたい。僕が共感できるものは「神力」だった。それでたぶん、尊氏のきもちがわかる。終始して、筆者の自分語り。

動機と立場

 これを書くにあたり、僕がどんな読者層であるのか明記する必要を感じたのでこれを書く。漫画が読みたかったので読んだ。本読む体力がずっとなくて、でも文字が楽しいから。本と漫画とゲームが好き。
 
 なぜ「逃げ若」を手に取ったか。世代で「暗殺教室」より松井優征への信頼があるから。作品は漫画がめちゃくちゃ上手くて、ためになって、優しめの味付け、という印象。意図して「子供のための王道」を作っているのがわかるところが信頼ポイントだと思う。筆者はネウロ未読。次はネウロ読もうかな。
 加えて、僕は歴史モノがなんとなく嫌いなので、この作家が調理した歴史モノめちゃくちゃ読んでみたいと思ったため。筆写の歴史レベル。中学で止まっている。社会科……作業感だけあり退屈に思った気がする。社会科は嫌いだけれど、文化史ジャンル、長いこと片思い先にしてる。芸術全般に。ほか、風俗、神話、架空戦記ジャンルは好物。いずれも興味だけで詳しくない。

  趣味、好物はSF。惹かれるのは、世界観の独特さ、舞台設定の緻密さ、物語の複雑さ、心理戦、あたり。一気読みが好きなので普段なら古典を選びがち。でも今回は令和のエンタメが浴びたかった。
 その上で、この作品の作風は好みとは少し違う。のだけれど、好きな味の尖った作品ばかり摂取してたら読み疲れるし……。大好きとは違うけれど、好きで、嫌な描写が少なくて、読んで疲れなくて、面白く、納得感がある作品だろう、と読む前から予想し手に取った。噛むと味がするのは好き。

初読、所感

 諏訪頼重がとにかくカッコよすぎるから、諏訪頼重が死ぬところまでは読もうと思った。最初にあとで死ぬって書いてあったからどんなか気になった。諏訪頼重が本当にカッコいい……。
 カッコいい! 好き! これになりたい(憧れ)! の気持ち。純粋に尊敬と憧れを抱いている。到底なれないすごい存在、かっこよくて好き。キャラクターへの尊敬の気持ちって、憧れよりもっと貴重かも。過去、キャラクターに対して、このタイプの好きな気持ちが湧くことってあまり多くなく、前例がすぐには思いつかない。ちょろいから、二枚目なキャラクターには軽率に憧れるものの。尊敬は記憶に少ない気がする。とにかく諏訪頼重がかっこよく、彼を追いかけて読むのが楽しい。強くてすごくて自分に似ていないキャラクター。
 
 反対に、似たところがあるキャラクターは、出会う毎に気になるし好きにもなる。けれど彼らに関しては、肩入れという気持ちが近い。尊敬や憧れは抱きにくい。それに自己投影してしまうのがだめ。同族嫌悪もないではないし。第一に、僕が感情移入できる相手は往々にして「人間味に不足があるか人間ではない、または敵」のため、そして重複する傾向にあり、大好きなんだけど、憧れて応援するつくりでないことが多い。現に、今のところ「逃げ若」に共感できるキャラクターはいない。尊氏? フルコンボだけれどタイプが違う。彼は情緒が豊かだ。
(後日追記。上記、結果として大噓もいいとこだった)
 
 今回諏訪頼重以外では、吹雪が気になるキャラクターで、僕じゃ彼の気持ち全然わからないけれど。「ドラマが丁寧で理論的」なところがミソだと思う。なんていうか、人間味の不可解さを理詰めで追うのを許してくれる作家だから、僕でも楽しく読めるのかな。
 暗殺教室も同じだったかも。強く共感できるキャラが出てこないにもかかわらず、ドラマが丁寧で理論的で、好きになれるキャラクターが多いところが心地よかった。言語化できてすっきり。

諏訪頼重のこと

 諏訪頼重のことカッコイイと思う。理由を考える。彼は僕に似てないしどういうひとかよくわからなくて、どこが気になるか言うのが難しい。
 まず、名前が厳しくて良い。重そうで強そうで爽やかなお名前でよいな。彼自身が重くて強くて爽やかで、名前に似合う素敵なキャラクターだとおもう。顔がカッコいい。おじさんだけど普通にすげえ美形。表情と立ち居振る舞いに威厳があって憧れる。
 表情が豊かなキャラクターは素敵だとおもう。情緒自体は穏やかでよく制御されているのに、出力が大きくて自然なのが偉いとおもう。諏訪頼重は感情の表出がデカくて派手で、そして完全にに本心でありながら、完璧にわざとやっているのがすごい。あんまりそういう人間みたことない。
 彼の描かれ方は、真面目な時とふざけている時のギャップで読者を惹き付けるよう意図された演出、と理解する。けれども、僕はじめからそうは見なかったな。反対で、ギャップがないことに惹かれる。真面目に見せるときとふざけて見せるときで、彼の感情やテンションに差は無いと思っている。どちらもシームレスに自然体。あの程度の振れ幅が自然に出るくらい、どこを取っても均質で巨大で安定した人格を想定する。人間味、でかくてつよくてすごいからちょっとよくわからない。
 人格の成熟性と完全性。彼のことをある種の完璧超人だとみなしている。そりゃ、かっこよくて手放しに尊敬している以上は、そうなるけれども。感情が大きくて豊かで、しかも良いものだけでできていて、彼は賢く使い方を間違えない。大勢の信仰を受け切れるくらいの自我の強度を備え、大軍の人員の命を責任として負っても、態度も気持ちの出力も高度に維持されている。そう、でかくて重くて動じないのに軽やかなとこがありえんだけ強いから真面目にかっこよすぎるというお話。
 やっぱり彼はちょっとおかしいかもしれない。気の良い自然体のひとの人格をしていて、成熟しよく制御が効いていて、かつ繊細さはそのまま出力がでかく、不動で頑丈な自我に基づき、並大抵でない賢さと誠実さによって動いている。そもそもの器の度量が大きすぎる。彼の長所のいくつかは、トレードオフの関係にあるはずで、あの大きさで両立させているのだから、彼の本性は本当に、途方もなく大きいのではないか。
 尊氏のことであれば、本編に似た表現あったな。僕は尊氏はわりとわかるが頼重はまじでわからないすごいやつ、と思っているけれど。あとは、そうだな。本編を読み返すほどに、尊氏はネアカだが頼重はそうでない、印象が強まるくらい。頼重は果てしなく陽気で果てしなく善人だが、僕、彼のこと性根は相当に暗いひとだな、と感じている。なんでだろ。

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