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かつてあじわったことのない深甚な恐怖感が鳥をとらえた。

大江健三郎は、人間の最も低俗な負の感情(恥や恐れ、後悔)を言語化する天才である。 彼は陋劣で下賤な感情を、様々な方法によって形容、比喩する。 其れは恰も幻想的で、詩的に映るが、絶妙にリアルで写実的である。 誰しもが数千度数万度と抱いた感情を読者に喚起させ、読者は共感性羞恥の虜となる。 そんな大江健三郎の作品と出会ったのはそう昔ではない。 1年前。属したばかりの仕事場に慣れず、辟易していた私を見兼ねた上司が飲みに誘ってくれたのがきっかけだった。場末の安居酒屋で二人対峙する中、発

    • 大学生のほとんどが就職活動をする驚愕の理由1選!

      どうして就活をするのか。 それは自立して生きていけるようにするため。自分の力でお金を稼ぐため。生きがいを見つけるため。 全く違う。 大学生が就職活動をする驚愕の理由は “みんなしているから” である。 とりあえず周りを見渡せば当然のごとく就活をしている。それに流され、三月になれば一斉にスーツを着て大学に行くし、国際展示場に向かうために今まで乗りもしなかった東京臨海高速鉄道りんかい線とかいう仰々しい名のついた電車に揺られもする。 「企業」という限られた枠のコミュニテ

      • 書頭痛

        私は書くことが嫌いだ。書こうとすればするほどに自分の語力•思考力の稚拙さが露呈してしまうかもしれない、ということへの恐怖があるからである。かの文才小林秀雄ですら、何かを書く度に踠き苦しみ、畳の上を這いずり回っていたという。人は誰しも書くことを恐れ、書くことに苦しむ。 ** 書くのは苦行だ。今でも何をどうやって書こうかと悩み、苦しんでいる。頭が痛い。**本来ならば書くことは手段であって目的ではない。しかし、書くことに伴う苦痛や達成感が大きすぎるが故に、そして文才への憧憬(それ

      かつてあじわったことのない深甚な恐怖感が鳥をとらえた。