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感謝されたい?

3つの封筒に入った私たち姉妹にばさっと置くと
「こういうものは死んでから渡しても誰にも感謝されないから」と言い捨てた。私たちと私たちの子供それぞれに6つの封筒が用意されていた。
父親が亡くなった時に心から感じたと。一生懸命働いて,さあこれから旅行や美味しいものを食べてゆっくりしようと思っていた矢先に亡くなって,子供たちにそれぞれ分けて「ありがとう」と言われても墓に入ってしまえばそんな声など届かないのだと。私たちは受け取りを拒んだ。普段からら電気や水道代を節約して質素に暮らしているのにそんな大金は受け取るつもりはないし、これから先何が起こるからわからないから自分のために使ってと。
何度も言うと母は逆ギレし始めた。「これは私の終活なんだ」と。「墓に入ってから感謝されてもわからないから」
終活ってお金を片付けること?
生きているうちに感謝されたい?それもお金で
悲しかった。お金で感謝の言葉を買っているかに思えた。親子なのに
目の色を変えて怒りながら話す母に何を言っても今は無理なので,その時私たちはとりあえず受け取ったが使うことなく返そうと心に決めていた。子供たち(孫)用に用意した封筒の中には手紙も入っていたので、それは取り敢えず子供に渡して判断をさせよう。そして私たちは封筒ごと返そうと決めていた。
母は少しずつ変わってしまった。
そして親子関係も変わりつつあった。


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