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パレットクラブ日記 第23回・ヒロ杉山先生「上と下」「裏と表」

※パレットクラブスクール「イラストコース」(23期)の授業内容の備忘録です。過去の授業内容はこちら

今回の講師はヒロ杉山先生。第16回に続いて2回目の授業だ。前回は「サコラピモンテ」からイメージしたイラストを描く、といういっぷう変わった課題だったが、今回は「上と下」「裏と表」をテーマに1点ずつ描くというお題が出た。対になるものを1枚のイラストに表さなくてはならないので、ちょっと難しそう。加えて、1週間で2点を仕上げる必要がある。急いで考え始めた。

「上と下」のイラスト

方向性として女性のイラストを描いていくと最近決めたので、今回のテーマも女性に寄せて考えることにした。パッと浮かんだのが「上司と部下」。どんなイラストがあるのか「上司と部下 イラスト」で検索してみたところ、圧倒的に男性の上司を描いた絵が多かった。さすが日本、OECD加盟国「ガラスの天井ランキング」29か国中28位なだけはある……。今後への期待を込めて、かっこいい女上司と可愛い部下ちゃんを描くことにした。

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上司さんの強さ・かっこよさを表すにはファッションが肝だと思ったので、映画『プラダを着た悪魔』のメリル・ストリープの衣装を参考にして描いた。ベルトと眼鏡の赤で画面を締めている。
部下ちゃんの方は若くて可愛いという魅力があるため、あまりアイテムを盛らずに、ピンクのスーツと表情で新人らしさを出した。
2人描いたところで力つき、背景は描けなかった(時間もなかった)。オフィスにありそうな観葉植物を描き加えて職場であることを表した。

「裏と表」のイラスト

難しかったのはこっちの方だ。初めは、振り向き気味に立つ女性の影が長く伸び、表面とは違う不穏な内面(裏)があると感じさせるイラストを描こうと発想した。でもなんだか漫画風になってしまい、タッチに合わない。手を動かしているうちに、ドアが描き加わった。そういえば、外のことを「表」といったりする。女の子がドアの裏から表へ出ていく絵にすることにした。

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ただドアから出ていくのでは面白くないので、トランクと帽子を描き加えて、これから旅に出る風にした。トランクはグローブ・トロッター。自分では持ってはいないけれど。

授業と講評

先生によれば、今回の課題は、対になる部分を解釈する際に、他者とは違う発想をするためのトレーニングのようなものらしい(前回の「サコラピモンテ」もそうだった)。あまり人が考えないものを見つけ出すことは、プロとしてそれだけでアドバンテージになる。今回、私はテーマを女性に寄せることを第一に考えてしまったので、発想力という点ではいまいちだったかもしれない。人と違う着眼点で描くためには、描く前に10ぐらいキーワードを書き出してみて、そこから選ぶといいとのことだった。

床山がいただいた講評は以下の通り。

【裏と表】
・扉が半開きになっていて、光が入ってくる感じがいい。
・トロッターをディテールまで描いているのがいい。ブランドものを描くとリアリティが出る。服もなんとなく描くよりも、ブランドものを描くと「ちゃんと描ける」感じが出て、(発注側は)仕事を依頼しやすくなる。
【上と下】
・上司の表情・服装が上司っぽい。部下も自信がなさそうな感じがよく描けている。
・この場所はどこだろう?と考えたときに、観葉植物があることで自宅ではないとわかる。背景が描けなくてもアイテムで場所を演出できる。
・背景を全面に描きこんでも面白かったかも。人物を引き立てるためには色を薄くするとか、タッチを変えるかして描くといい。
・人物の表情がいい。イラストの8割は人物。男性も描いた方がいい。

イラストに個性を出すためにはどうしたらいいか、という質問をしたところ、「いちばんは顔をどう描くかだ」と、先生。今のイラストはキャラクター性はまだ弱いが、現時点としては良いので、これを終着点と考えずに目や口の描き方を研究していくといいとのことだった。「毎日違う絵になっていい」という先生の言葉に勇気づけられた。タッチの統一感を出そうとして躍起になってしまいがちだが、今はまだバラバラでもいいんだ……! 女性を中心に描くと決めたことだし、少しずつ、自分の好きな線や色を探っていこうと思う。

背景を足した「上と下」

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すごく簡単になったが、背景を追加してみた。背景に埋もれないように人物の彩度を上げ、部下ちゃんの靴の色を白に変更した。

やっぱり、簡単なものでも背景はないよりあった方がいい。
ヒロ先生、ありがとうございました。

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