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パレットクラブ日記 第16回・ヒロ杉山先生「『サコラピモンテ』を描く」

※パレットクラブスクール「イラストコース」(23期)の授業内容の備忘録です。過去の授業内容はこちら

2020年最後の授業。講師は大御所、ヒロ杉山先生だ。イラストを見ていただけるだけで、もう光栄という感じがする。

先生からの課題は、「『サコラピモンテ』から浮かんだイメージを描く」という一風変わったものだった。サイズはB4。サコラピモンテ自体に意味はないという。音(おん)からビジュアルを想像するのって、面白い。好きな課題だと思った。

構想

今年のイラストコースはレベルが高い、と先生方が口々におっしゃるそうだ。実際、みんな画力も高ければ、発想も良い。見ていただく上で、なるべくアイデアが被らないようにした方がいいだろうな……と思った。
「サコラピモンテ」からまず思い浮かんだのは、「幻獣サコラピモンテ」や「宇宙人の言葉」など。真っ先に思いつくものは他の人も考えている可能性が高い。避けることにした。

サコラピモンテには意味がないというけれど、なんとなく意味を見出したくなってしまうのが私の性。「サコラ」「ピ」「モンテ」に分解して考えてみた。

「サコラ」…フランス語の sucre(シュクレ・砂糖)に似ている
「ピ」………ピンク
「モンテ」…イタリア語などで monte「〜山」

ピンクの砂糖の山 → 「ピンク色のモンブラン」を想像した。モンブラン(mont branc)は白い山という意味だし、感覚的にバチッとハマった。まずはこれでいってみよう。


制作したサコラピモンテ(1)

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はじめにモンブランを描いてみたが、それだけではイラストとしてつまらないので、背景に製作者のパティシエと子どもを描き加えた。人気のパティシエに、お金持ちのおぼっちゃまが新しいスイーツを発注した、というストーリーだ。あくまで主役は「サコラ・ピ・モンテ」なので、お菓子が際立つように、背景は後退色の紫でまとめた。

まずデジタルで描いてみて、きちんと仕上がったとは思うけれど、なんとなく不完全燃焼だな……という心地がした。今回は年内最後の授業だし、ヒロ杉山先生だし。せっかくならもう1点ぐらい制作したい。それに、前回の杉浦さやか先生の細やかなお仕事ぶりが目に焼き付いている。よし、今回はアナログにもチャレンジしてみよう! そんな気持ちになった。


制作したサコラピモンテ(2)

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今回は分解せず、サコラピモンテという言葉全体からイメージした。明るさ、軽やかさ、ラテンっぽい響きを感じるので、南米音楽のタイトルだったら面白いなと思い、それに決定。ペルーの子どもたちが「サコラピモンテ」という曲を演奏している場面にした。

杉浦さやか先生のお仕事に感銘を受けた勢いで、久しぶりに切り絵に挑戦した(杉浦先生は切り絵も素晴らしかったのだ)。服の模様はアクリルやポスカで描いている。楽しさが伝わるイラストにしたいと思ったので、制作中はボリビアの音楽ばかり聞いていた。

苦労したのは背景だ。何枚も失敗したけれど、最終的には切り絵の動物(リャマとコンドル)を添えて、ペルーらしい模様を描き加えることで決着。先日模写したチョコレートのパッケージを参考にしている。

ほぼ2日がかりで、なんとか作品を仕上げることができた。アナログ作業は没入感と達成感がデジタル制作とは全然違う……と改めて実感。お仕事ではなかなか難しいけれど、自分の作品にはアナログも積極的に取り入れていきたいと思う。


講評

はじめに先生が、今回の課題の意図をお話しくださった。イラストレーターがたくさんいる中で、一つのものからどれだけイメージを膨らませられるかが勝負のカギとなる、というお話しだった。
描くことは数をこなせばうまくなるが、その前段階のアイデアについても、ふだんから他者と違うことを考える習慣をつけるのが大切とのこと。そのトレーニングとしての、今回の課題なのだろう。

いよいよ講評が始まった。杉山先生はとても褒め上手な方だった。まず良いところをたくさん褒める。その後、今後に向けて改善できる点を指摘くださるのだが、それがクリアカットでとてもわかりやすい。他の人の講評からも勉強になることが山盛りだった。

床山がいただいたコメントは以下の通り。

・モンブランの描き方、影とハイライトの当たり方が良い。主役をモンブランにして、人物を紫一色で背景として引っ込めている構図も面白い。
・(切り絵)すごい。チチカカみたいな模様の感じが良い。楽しそうな感じが出ている。
・2点とも、アプローチは違うが世界観がよく出ている。イラストレーターに向いていると思う。
・顔の描き方はこれで固定しないで、どんどん変えていって探していくといい。これ(モンブラン)が描けるなら、違う描き方も見つかると思う。

世界観が出ている、と言ってもらえたのがとても嬉しかった。頑張って2点制作してよかった! 人物の顔は最近この感じ(眉毛と鼻をつなげる描き方)で描いていたが、まだ通過点と考えた方がいいらしい。焦らず、自分と相談しながら見つけていこう。


最後に先生から、「イラストレーターになるための近道」のお話があった。その近道は、1枚でも多く描くこと。そして、まず自分の世界観を作ること
実際のお仕事ではリアリティを求められることが多いが、まず自分の世界観・土台をしっかり作ってからリアリティの世界へ入っていくと、長く仕事ができる、と先生。そのために、今は自分の好きなもの、テンションの上がるものを描き続けていくと良いとおっしゃっていた。

やっぱり「好き」って大事なんだな! 先週の杉浦さやか先生にもそう言われたので、Twitter で「#好きの積み上げ」のタグをつけて好きなものの投稿を始めたのだが、これからも続けていこうと思う。

年内最後の課題と授業は、とても充実したものになった。
授業はまだ半分以上残っている。来年も、気持ちを新たに頑張ろう!


いただいたサポートで、少し美味しいおやつを買おうと思います。明日への活力です。