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パレットクラブ日記 第11回・吉岡ゆうこ先生「不動産会社の会報誌の表紙を描く」

※パレットクラブスクール「イラストコース」(23期)の授業内容の備忘録です。過去の授業内容はこちら

イラストコースの全33回のうち、3分の1が過ぎようとしている。その節目の回は、これまた憧れのイラストレーター、吉岡ゆうこ先生だ。きちんと個性があって、おしゃれなイラストを描く代表みたいな先生だと思っている。

吉岡先生からは1ヶ月前から課題が出ていた。今回もまたヘビー級。実際に先生がお仕事として請負った、不動産会社の会報誌の表紙を描くという設定だ。

○媒体:不動産会社(主にマンション販売を主体としているクライアント)の会報誌表紙
○内容:季節は冬。
若い夫婦(+犬や猫など飼っている動物を描いても可)が真冬のレジャー(雪だるまやスキー、雪合戦、雪見、などなど)を楽しんでいる様子を背景込みで描く。
マンション(架空のマンション)を遠くに見せるなど不動産会社の媒体、という事を念頭に描く。
○サイズ:ヨコ21センチ×タテ20センチ
○画材:自由

お仕事さながらの課題なので、うまくいけば自分のサイトにも制作物を掲載できるかも。張り切って取りかかることにした。

カラーラフ

201109_カラーラフ

3分割構図で人物や要素を配置した。
先生のお手本(これがまた素晴らしかった)を見せていただくに、登場する夫婦は世帯年収1500万円以上の比較的富裕な層に入るのではないかと想像できたため、遠景に夫婦の住むタワーマンションを描くことに決定。

しかし建物をきちんとお仕事向けに描いたことがない床山。きっちり描くにはCLIP STUDIOではなくIllustratorかな…と思い、素材としてのタワマンをイラレで先に準備することにした。

タワマン×人物の第一稿

201111_カラーラフ_2

自分の描きやすいポップなタッチで人物を描いてみたが、どう見ても、タワマンが悪目立ちしすぎている。人物も、ターゲットとなる富裕層カップルというより、親しみやすいファミリー向けのイラストという感じなので、線画はやめて面で描くことにし、タワマンとの調和を目指すことにした。

提出版

画像3

イラストをデザインに落とし込んだのがこちら。人物を面で描き、頭身を高めに。人物の服には水彩テクスチャを使ってアナログ感を出した。
不透明度を下げたため第一稿より幾分マシになったものの、マンションの存在感はまだ大きい気がする。

さらに大きな問題が。プリンターでの色出しがうまくいかないのだ。思っているようなスッキリした色味が、印刷でどうしても出ない。Photoshopでいろいろ調整してみるも、とうとう最後まで思い通りの色にプリントすることができなかった。ここでタイムアップ。仕方なし……。

吉岡先生の授業

吉岡ゆうこ先生は、イラストから想像していた通りのおしゃれな先生だった。黒+ベージュ+ブラウンのベーシックな色でまとめた、シャープで女性らしいファッションがとてもお似合いだ。

初めに、今回の設定で実際に先生が描かれた作品を紹介してもらった。薄紫から黄色にグラデーションのかかった空、舞い散る雪の下でカップルが雪だるまを作る、おしゃれで幻想的なイラストだ。思わずため息。

先生の制作はオールデジタル。ありがたいことに、その手順を紹介して下さった。資料の集め方から、クライアントに提出するラフの精度、テクスチャの使い方、主線なしのイラストで輪郭をはっきりさせる仕上げの方法などなど。デジタルでの仕事を主としている床山、メモの手が止まらなかった。

講評

先生からいただいたコメントのあらましは、以下の通り。

・よく描けている。描写力がある。
・マンションもすごくよく描けているが、人物との整合性がない。別の人の絵みたい。マンションをここまで描くなら、人物の描き方も検討が必要。
・マンションを細かいところまで全部描いてしまっている。引くことも技術
・全体的に色味がさびしい。帽子や服の色で華やかさを出してもよかった。
・マンションをきっちり描いているので、人物の形も厳し目にとるといい。
・空のグラデーションは、違う色(紫+黄色とか)でかけてみるとのっぺりしなくなる。

やっぱり、マンションは目立ちすぎていたか……。でも今回も、ものすごくためになるアドバイスをいただけた! 配色と印刷時の色出しは引き続いての課題。先生の言う「色の響き合い」を考えて、色の組み合わせの検討にもっと時間をかける必要がありそうだ。

授業後にポートフォリオをみていただいた時にも、イラストの「引き算」のお話があった。どうにも私は全てをかっちりと描いてしまいがちなので、線や色の緩急の付け方を研究していきたいと思う。

吉岡先生からは、クライアントワークで気をつけるべきポイントをたくさん学ぶことができた。制作物には明るさ・親しみやすさを求めるクライアントが多いということ。構図として、人物の顔が見えないのはNGであること。小さい要素にも神経を使って描くこと。心がけたい。


おしまいに……修正バージョン

201109_estate_aftereffect_色調整


1)タワマン を簡略化、色のトーンも薄めに
2)帽子と女性の服の色を変更、彩度をアップ
3)空は2色使いのグラデーションに
4)男性の体のラインを修正
5)輪郭線をはっきりさせる仕上げの技を使用

全体的に印象が明るくなり、人物の幸せ感が増したと思う。5)のテクニックを使うと、輪郭がくっきりするのとともにイラストに温かみが出る感じがする。デジタルだからこそ、ひと手間、ふた手間をかけるのって大切なんだな。ものすごく勉強になった。


次回の授業は実技だそう。こちらも楽しみ!

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