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ジャンル分けが難しい私の邪道な作風について

先日、こんな記事を書きました。

これを書いたときは、胃がキリキリ、心がモヤモヤ、頭半分パニック、だったのですが、自分の中で、色々と整理がついたというか、気づきがあったというか、吹っ切れたというか、とにかく、この悩みから『抜けた』と、今朝、感じたので、それについて書き留めておこうと思います。

私は今回書き上げた作品に限らず、ジャンル分けが難しい作品が多いです。

『恋愛』『家族』『友情』『青春』『ミステリ』『ホラー』『官能』『BL』『歴史』etc...
こんなふうに、小説には色んなジャンルがあります。

私は、まだまだ物書きとして未熟だった時代から、いつもこのカテゴリ分けに悩んでいました。小説サイトに自分の作品を投稿するとき、上記のようなジャンルから一つを選ばないといけないのです。でも、そのどれにもあてはまらない。ようやく見つけたエブリスタ(小説サイト)での『ヒューマンドラマ』というカテゴリに、一筋の光を見出しました。

私が書くのは、恋愛関係にならない男女ふたりの絆だったり、重い過去を抱えた主人公が周りの人たちとの関わりによって過去を消化し、前を向いて生きていくような、人の成長を描いたものだったり(しかもそこに恋愛要素が含まれることはほぼない)。男同士の深い絆(友情以上恋愛未満、ブロマンス)だったり。とにかく、なんか、一言で言えないんです。邪道で、マイナーなんですよ。まじで。

だから、王道のお話を書ける人が羨ましかった。俺様イケメンと少女の恋とかさ、ドキドキするBLとかさ。そういうのを、私も書いてみたかったよ。女の子がキュンキュンするようなかっこいいセリフを、イケメンから吐かせてみたかったよ。

でもね、書こうと思っても、手が止まるんです。もうね、細胞が分かってる。『お前が王道を書いても面白くないし、そもそもお前は王道を書きたいわけじゃないだろ?』と、私の思考する脳も、文字をタイピングする手も、もうとっくのとうに、分かってる。

だから、王道を吐き出せない代わりに、私は淡々と書き続けました。やっぱり未だにジャンル分けの悩みはあるけど、でも、自分の書きたい作品を何作も書いていると、少しずつ、そういう自分の作品『らしさ』というものが、見えてくる。

私は誰かの人生を描きたいんだと。恋愛とか、友情とか、BLとか、そういう区分けの、もっともっと手前で『この人の人生を描きたい』『この二人の人生が交わったらどうなるのだろう』そういう願望が、いつも創作するときの根底に、ある。そうして、書いてみて結果として『あぁこれはBLになったな』だとか『これは青春モノになったな』だとか、そういう形で帰着する。
(そして多分、世の創作者の方々は、ここらへんの流れは十人十色だと思う。私の知り合いには『こういうセリフを言わせたい』からスタートして物語を考える、という人もいた)

『青の罪人』もそう。私は祈という人間の人生を描きたかった。碧志という人間の生き様を、この世に吐き出したかった。だから、書いた。二人が交わり合う物語が生まれた。そして物語のあるシーンを書いたときに、『あぁ、これはBLだな』と、自分の中で確信した。

そんなんだから、上の記事みたいに悩むこともある。既成のBL概念に、私の作品はどう映るのだろう、と。これはBLと呼ぶべきなのか否か。

そして、今、また自分の中で色々と新しい小説のアイディアが浮かんでは、それを忘れぬように書き留めている。やはり、そのどれもが一言で言い表せない、ジャンル分けに悩ましいものばかり。

でも、しょうがないのだ。私はこういう話しか思いつかないし、書けないし、そして私はこういう一言で言い表せないお話を(読み手時代から)読むのが好きだったし、今も好きだし、そして私は私の作品を、愛してる。

新しいアイディアのなかに、一つ、群を抜いて突飛で奇抜なストーリーがある。昨日の夕方から今日までで、思いつくままに書き留めたら1万字を超えていた。そして、まだ整いきらないその文章を、読みながら思った。
これは、ジャンル分けできないし、できないからこそ、たぶん、人の記憶に鮮明に残るのではないか、と。
一言で言えない。これはなんのジャンルの作品なんだ?恋愛か?歴史か?いやでもミステリ要素もあるぞ?いや、分からない。分からない。いったいこれは何なんだ?なんと呼べばいい?
まだアイディア段階であるにもかかわらず、読み終えた人間皆が、首を傾げるその様子が、容易に想像できた。そして、私はそれを求めていたのだと、気づいた。
疑問でも、衝撃でも、何でも構わない。誰かの記憶に残るような、脳内に棲み続けるような作品を生み出したいのだと、私の創作本能が叫んでいたことに。

ジャンル分けできないのが、一言で言い表せないのが、私の作品であるなによりの証だと、そのときようやく気がついた。

そうやって、悩めばいい、とすら思う。これはなんと言い表せばいいのか?と、これは〇〇というジャンルに当てはまるのかそうでないか?いやでも、と、みんなで議論し合えばいい。

私はその間に、私の物語を書き続けるから。私が書きたい誰かの人生を、勝手に、描いていくから。ジャンルとかそういう既成概念の話は、もう、読んだ人が勝手に決めてくれ、と。

私の作品の魅力は、既成概念じゃ語れない。

そして、それはそのまま、既成概念におさまりきろうと羽を閉じた瞬間、私の良さが一瞬で死ぬ、ということを表している。

私のオリジナリティは、私の作品であることそのものだ。私が生み出すそのものが、作品の特徴であり、この世で唯一の私の作風であり、既成概念にとらわれないオリジナリティだ。

だから、もう『青の罪人』がBLかどうかなんて話はどうでもいい。あとは読んだ人間で勝手に判断してほしい。私は祈と碧志の人生を描けたことに、ひどく、満足している。
彼らの絆は、一言では言い表せない。言い表せないからこそ、私は彼らの人生そのものを描いてきたのだから。
そして、彼らの関係は、既成概念にとらわれることなく、ずっと生き続ける。私の中で、読者の中で、このネットの海の中で。

BLだとか関係なく、どこかの誰かが、祈と碧志、彼ら二人の人生を目の当たりにして、何か、心に残るものがあれば、それで、じゅうぶんなのだから。

だから、私は描き続ける。これからも、誰かの人生を、その生き様を、描き続ける。誰かとの出会いから、その、終焉までを。心の闇を、苦しい葛藤を、未来への希望を。他の誰にも理解し得ない、二人だけの愛と絆を。

それが私の――作家としての使命なのだから。

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