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妻へのラブレター #忍者ラブレター #毎週ショートショートnote

スマホの着信音が鳴る。
特別に設定されたメロディ。

メールを開くと案の定仕事の依頼だ。

忍者と呼ばれていた
時代から暗殺家業を続けている。
続けなければ自分達が消される。

退院してきたばかりの双子は
スヤスヤと寄り添って眠っている。

今夜の仕事で終わりにする。
妻とこの子達の為に。

妻は不安そうな顔で俺に抱きついてきた。
妻を抱きしめ、大丈夫だと声をかける。
妻に向けてなのか、自分に
向けてなのかわからない。

ただ大丈夫だと、口にする事が
大切だった。

「今日で終わりにする」
玄関で俺を見送る妻に伝える。
すでに泣きそうな表情で
俺を見つめる瞳には水滴が
溜まり始めていた。

「忍者メールかぁ。ダサいよな」
と言いながら
送信相手を「忍者メール」
で登録したセンスのない俺は
茶化してメール内容を妻に見せる。
仕事内容は隠さない。

俺のスマホに妻の頬を伝って
水滴が落ちた。

スマホを受け取るとポケットにしまう。

「終わったら忍者ラブレター
送るから安心しろよ」
そう言って俺は玄関を出た。


#忍者ラブレター  
#毎週ショートショートnote

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