ターゲット志願者 裏話 #親切な暗殺 #毎週ショートショートnote
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こちらの作品単体でも読めますが
ターゲット志願者
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を読んでからこちらを読んで
頂く事をオススメいたします。
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夫が暗殺者だった。
キッチンの床板
クローゼットの奥に
隠された秘密を見つけて確信した。
同業者だと分かった以上
このまま一緒にいる事は
できない。
私の暗殺は丁寧すぎて
親切な暗殺と笑われるほどだ。
もう辞めようと考えていた。
私は普通に暮らしたかった。
普通に生活して、普通に生きる。
そんな普通に憧れていた。
夫と対峙して勝てる気はしない。
辞める事は死を表す。
仲間に殺されるか
夫に殺されるか。
暗殺者としてこの世を去るしかない。
寝室で横になり両手で顔を覆う。
手のひらが潤っていく。
溢れた水滴は枕に染み込んでいった。
私は、人づてに
自分の暗殺を夫に依頼した。
病院のベッドで横になる私。
私の手を握り微笑む夫。
お互い潤いのない手を繋ぐ。
あれから40年。
夫のターゲットである私は
普通の生活をしてきた。
私を暗殺できるのは夫だけ。
最強な暗殺者の
ターゲットを横取りできる
者は存在しない。
私は安全な場所を見つけ
一般人として
一生を終える事ができた。
ありがとう。
親切な暗殺者さん。
【418文字】
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