見出し画像

Happy Valentine─スズタニ運送─



で、イチャつく2人。
その頃……
スズタニ運送事務所では。


本日の業務は終了し事務所で
カヲルから、配られたチョコレートを
嬉しそうに頬張る社員達。

私も特別なチョコレート
どうやって保存しようかと
考えていたら、カヲルに
「ちゃんと食べないと、
来年あげませんよ!」
と脅され、慌ててチョコレートを
口内へ運んだ。


来年
血生臭い仕事。
不透明な未来。
明日さえ来ない可能性がある中で
『来年』なんて言葉を
口にしたカヲルが、
たまらなく愛しかった。

出会った頃のカヲルからは
『生』ではなく『死』の匂いが強かった。
あの時は自分が生きる事の意味を
必死で探している少女だった。


今じゃ、スズタニ運送の
マスコッ……アイドル的存在になり、
ごつい野郎共に囲まれて
笑ってるカヲルの姿に
目頭が熱くなる。


私らしくない!
今日は、W推しと過ごせて
幸せすぎたから、
少し干渉に浸ってしまった。

社員に家庭用冷蔵庫から
ビールを持って来させて口に運ぶ。

ワインの方がチョコには合うか?
缶ビール片手にワインセラーを
物色しに行く。


「!!!」
忘れてた!
ワインセラーの手前に
ルナに渡そうと思っていた
小瓶を見つけた。

ルナが素直に悟に渡せるか、
悟が素直にルナからの
プレゼントを食べるか
心配だった為に、調理中に
コレをチョコレートへ
混ぜる予定だった。


猛毒ポワゾン』で調合したコレは
色はピンクでドギツイが
無味無臭で悟でも気づくことはないはず。




少しでも推しが
笑顔になればと調合したが
(スマホで二人を連写していた為)
ど忘れしてしまった。


小瓶を取り出し
自分のデスクに戻る。
自分じゃ効かないし
使う相手もいない。


そういえば最近恋人が出来たと
自慢していたヤツがいたはずだ。
今夜の甘いバレンタインデーの
スパイスにでもなるだろう♥


社員の幸せ
(3倍返しの楽しみ)
に微笑むスズタニの姿が
カヲルには、魔女に見えたのは秘密だ。



中身?ヒ・ミ・ツ♥




まくらさん

ギリギリ!
バレンタインに間に合った?



サポートありがとうございます。 治療、子育て、罰金返済等に使用させていただきます。