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変わる時3 #変わる時 #シロクマ文芸部 #小説 # 虎吉の毎月note #入学


変わる時を決断してもらう日が来た。

真新しい赤いランドセルを
背負って、少し大きめの制服を着た
娘と一緒に入学式に向かう。

夫はビデオで娘の姿を
撮るので必死だ。
私は、娘がきちんと
自分の名前が呼ばれたら
返事が出来るかどうか
緊張しながら見守っていた。


無事に入学式を終え
校門前「入学式」の文字の隣に
並ぶ娘をスマホで撮影する。


「撮りましょうか?」
同じクラスの方から声をかけられ
三人並んでスマホで
写真を撮ってもらった。


幼稚園児の時、
娘は他の人には見えない
モノが見えるようだった。

花が添えてある側にいる
白い子犬を撫でる娘をみて
気づいた。

「ママも一緒に遊んで」
娘が私の手を引いて
ぬいぐるみの側に座らされる。
おままごとを楽しそうにする姿を
ソファに座っている主人は
複雑な表情でみている。


幼稚園のお迎えの際、
ひとりで遊ぶ娘を心配して
主人が迎えに来た時に先生が
相談した事が気になっているようだった。

幼稚園児なら
まだ可愛いですむかもしれない。
しかし、このまま成長してしまったら。

小学校になればクラスメイトから
何を言われるか。
周りからどんな目で見られるか
不安になってしまう。


私は、娘に小学生になったら
こういう事は止めるようにお願いした。

「なんで?」
と泣く娘を抱きしめた。
他人に好奇な目で見られる娘を
想像して怖くなったのは私の方だ。
娘は何も悪くない。

「ごめんね」
私は強く娘を抱きしめた。



今年はの開花が遅れ入学式に
桜は満開。
春風に乗ってピンクの花びらが舞う。
入学式の季節になった。
娘は今年、6年生になった。


娘の部屋には、
小学校入学式の時に撮った
写真が飾られている。
夫と娘の写った素敵な写真。


あと1年。
私も変わる時がきた。







#変わる時  
#シロクマ文芸部  
#54字の物語

# 虎吉の毎月note
#入学

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