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真っ赤な両手 #親切な暗殺 #毎週ショートショートnote

私は暗殺に失敗し
致命傷を負った。

両親は躊躇わず
私を処分した。

事にして他国へと
逃してくれた。

記憶喪失の私は
両親と兄の4人家族として
生活をしていた。


玄関ドアを開けた瞬間
キッチンから母の悲鳴が聞こえた。
体が素早く反応した。
床に倒れた父、母を襲う男。

頭で理解する前に
私の体は男を蹴り上げていた。
キッチンナイフを男の首に突きつけた
ところで、自分が何をしているのか
理解し記憶が蘇った。

躊躇なくナイフを滑らせた。

玄関から物音がし
足音が近づいてくる。

背後に兄の気配を感じた。

「思い出したのか?」
私は頷いた。


兄は床に倒れた父に息が
ある事を確認し
二人を連れて
キッチンから出ていった。


戻って来た兄は
真っ赤に染まる男を担ぎ
裏口へ向かった。
私も後を追った。

親切な暗殺で評判だった彼。
手際よく処理していく。
懐かしい背中。


作業を終えて振り向いた彼と目が合った。
お互い真っ赤な手をしている。
あの時と一緒だ。



彼はネックレスを外し
2つのリングの1つを
私の薬指に滑らせた。



#親切な暗殺  
#毎週ショートショートnote

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