市営住宅での暮らし、人生の目標


両親が離婚してすぐの中学生の頃は築35年(住んでいるうちに築40年になってしまった)アパートに住んでいたが、低収入母子家庭の我が家は運良く市営住宅の団地に入居することができた。

この市営住宅の住人は年寄りと母子家庭と外国人がほとんどを占める。
決して治安は良くない。
しかし、低収入である私たち家族にはここが1番身の丈にあった住まいだった。

4LDK角部屋新築マンションから一転、築50年の市営住宅団地へ。
高校生だった私は、友達を家に呼ぶことは一切なかった。
こんな古くて汚い家に友達なんて呼べなかった。
みんな綺麗で大きな一軒家やマンションに住んでいるのに、なんで私だけこんな古くて汚くて治安が悪い団地に住まなくてはいけないのか!!!
みじめで、くやしくて、悲しかった。

物心ついた頃には新築マンションで生活をしていたから、更に辛かった。
生まれた頃から団地暮らしならまだ良かったかもしれない。
隙間風が無くて浴室暖房があって追い焚き機能も付いててエレベーターもあって宅配ボックスがついててインターホンがカメラ付きでトイレ洗面所お風呂台所が綺麗で…そんな家を経験していなければこの団地でも満足できたかもしれない。

団地暮らしがどれだけ辛くても、綺麗なマンションにはもう帰れない。
この団地に順応していくしかないのだ。
結局、高校生〜社会人までの約6.7年間団地に住んだが慣れることはなかった。

たまに、自分の家の夢を見る。
家の夢を見るときは、決まって最初に住んでいた新築マンションが舞台になっている。
今の家でも、その前に住んでいた家でもなく、最初に住んでいた家だ。
もう、そのマンションに住んでいた時よりも長い年月が経ったのに。
あのマンションのエントランス、階段、玄関ポーチ、家の間取り…
夢の中でも鮮明に出てくる。
幼少期に過ごした家だから出てくるのか、無意識にあのマンションに執着しているからかは分からない。

この文章を書きながら、私は自分の人生の中で「家」を重要視していることに気がついた。
noteに書くことも家に関することが多いし、引っ越し予定も家を買える余裕もないのにSUUMOなどの賃貸サイトをよく見たりする。

最初に住んでいたマンションのような、綺麗で落ち着ける家。
いつかそんな家に住むことができるのだろうか。

私にとって、人生での大きな目標は本当の意味での「自分の家に住むこと」かもしれない。

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