古くて狭い賃貸暮らしの一生か?


中学に上がる頃に両親が離婚した。

父はお堅い職業に就いており、ほかの同年代に比べればまあまあ稼いでいたらしい。
両親が23歳、私が赤ちゃんの頃に当時の新築マンション角部屋4LDKを購入できるくらいには稼いでいた。

そんな父と母が離婚したので、中学に上がると同時に同じ校区内の3DK築35年のアパートへ引っ越した。

広くて綺麗なマンションから一転、はじめての古賃貸暮らしである。

家の中にいても外の鉄骨階段の音が響く。
だれかが家を出、家に帰り階段を上り降りするたびに、ごぉん、ごぉん。
朝でも夜中でも構わず、ごぉん、ごぉん、と。

隙間風がひどく、暖房をつけても意味がない。
となりの住人の咳払いの音が聞こえる。
水回りが寒く冷たく、とにかく古い。

前のマンションに帰りたくて帰りたくて仕方がなかった。
その帰りたかったマンションも父1人で暮らすには4LDKはさすがに持て余し、売ったか貸したかしたらしく、程なくして知らない家族が住んでいた。
帰りたいマンションも無くなってしまい、私は諦めた。

ここから私は今に至るまで数度引っ越したが、ずっと古い賃貸暮らしをしている。

もう一生綺麗な家には住めないかもしれない。

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