貧乏人の子は貧乏人になる

私の実家は決して裕福ではなかった。
母子家庭だったため市営住宅に住んでおり、両親の離婚後は家族で旅行なんて行ったことなかった。
外食は数ヶ月に一度のファミレスのみ。

それでも、母が必死に働いてくれていたお陰で私たちは生活することができていた。
そんな必死に働く母の手取りよりも、生活保護の支給額が多いのは納得いかなかったが…。

私もいま古い1LDKに住み贅沢できない暮らしをしている。
私の母も、働きつつも相変わらず古い市営住宅に住んでいる。
そして、私の祖父母も少ない年金で慎ましく暮らしている。

祖父母は曽祖父母が買った古い一軒家に住んでいる。
我が家と同じくらい隙間風がひどい古い一軒家だ。
祖父母からは、今まで旅行に行ったりレストランで外食したなどという話は聞いたことがない。
贅沢せず普通に生活していただけなのに蓄えもできず、少ない年金をやりくりしながら裕福とは言えない生活をしている。
もし余裕があったら、今頃綺麗で暖かい老人ホームで夫婦仲良く暮らしていただろう。
残念ながら、私の母や叔母も、私も、祖父母を援助できるようなお金はない。

私の母は、大学は女が行くものではないしお前を大学にやるお金もない。と言われ、高卒で就職した。
私の叔母も同じく。
そして母の従兄弟たち、私の叔父叔母従兄弟も10数人程いるが同じくみな高卒だ。

大学も短大も卒業していない人が高収入を得られることはほぼ無い。
結局、低収入で生活をしながら結婚し、子供が生まれてまた低収入の家庭が増えるのだ。

私は私が知りうる親族の中では初めての大卒だった。
大学を出て就職してたくさん稼いで、この何世代も前から続く貧困の連鎖を断ち切りたかった。

しかし、奨学金の返済と正社員なのに手取り16万という給料で結局は変わらず貧困のまま。

もし祖父母がお金持ちだったら、母や叔母は奨学金を借りずに大学や短大を出て就職し、そこそこの給料を得られていたかもしれない。
大卒でしか就職できない企業で男性と出会い結婚し、余裕のある生活をしていたかもしれない。
そして生まれた子供も奨学金なんて気にせず大学へ行き、いい企業に就職してまたお金に囚われることのない生活を送っていたかもしれない…。

最近知ったのだが、私の叔母と従姉妹は国民年金を払っていないらしい。
毎月16,000円も払えないくらい生活が厳しいそうだ。
生活保護は受け取れない、しかし国民年金は払えないくらい生活は厳しいというグレーゾーンの貧困。
私も日々の生活でいっぱいいっぱいなので援助する余裕はもちろんない。
叔母と従姉妹がこの先どうなるかはわからないが、また貧困の連鎖は続いていく…。

貧乏人の子は貧乏人になる。
結局、どれだけ私は頑張っても貧困の連鎖からは抜け出せないのだ。

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