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2時間の映画にするには尺が足りないんじゃないかな?:映画評「十二単衣を着た悪魔」

「月と日の后」を読んで、この時代を舞台にした映画でも…と思ってチョイスした作品。
真面目なのを観るのも億劫だったのでw。

京大医学部に現役入学する優秀な弟を持ちながら、自分は59社の就職面接に落ち、恋人にも振られてしまった主人公。
「源氏物語展」のバイトをした帰りに、蛍に導かれて、「源氏物語」の世界にタイムスリップ(?)し、弘徽殿女御の陰陽師として活躍することに…


というファンタジーもの。
原作は内館牧子さんの小説です。


ナカナカ面白い設定ですし、「弘徽殿女御」目線での光源氏・藤壺中宮評なんかは、
「いや、まあ、そうねw」
って感じ。
主人公が平安時代の女房と出会い、夫婦として暮らす展開なんかも良いと思います。
…が、あまりにもバタバタしすぎw。
内館さんは「プラダを着た悪魔」を見て、<弘徽殿女御>を「現代的な強い女」として見立てて原作を書いたそうですが、映画になると「2時間」の枠の中に、

・現代的な「強い女」としての<弘徽殿女御>の生き様
・主人公と妻との生活とその決着
・現代パートでの主人公の生き方の行方


の3つの大きな流れが押し込められることになって、結局どれも中途半端な印象になります。
特に<弘徽殿女御>パートが弱くなっちゃてるのがねぇ。
ここでもっと主人公が女御に振り回され、それでも彼女の生き方に共感して行く…ってとこを印象付けることが作品のテーマとしては重要だと思うのですが、残念ながらそこまで印象付けることができていません。
「絵」的にも、内裏がセット、セットしてて、しょぼいのが…w。
まあ、これは予算の問題もあるでしょうがね。



ただ「はなとゆめ」「月と日の后」と読んできたので、この時代の朝廷の「女御」たちの<在り方>みたいなものは頭に入っていたので、弘徽殿・藤壺の「戦略」みたいなものも理解しやすくて、面白かったとも言えます。
「受け身」であることを強いられた女たちの戦略という意味で。(弘徽殿は「藤原詮子」、藤壺は「中宮定子」…に近いかな。モデルではないはずですがw)
そこら辺を現代的目線で解釈し直したあたりが原作の面白いところなのかもしれません。
そういう観点からは、弘徽殿・藤壺が手を取り合って…なんてのも面白そうですが、それじゃ「源氏物語」じゃなくなっちゃいますからねw。


読者評なんかを読むと、原作の評判はかなり良さそうなので、小説の方はもっとしっかりとした展開になってるのかも…です。
う〜ん、もしかしたら、そのうち読む…かも。
内館さん、ちょっと苦手なキャラなんですよw。


#映画感想文
#十二単衣を着た悪魔

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