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8月の終わりのこと。

台風と呼ばれたものが過ぎ去ってからというもの完全に空気が秋のそれと入れ替わった。ここ数日は夜にエアコンの世話になることなく窓を開けて眠ることができている。足首やふくらはぎが冷えて固まることなく目覚める朝。最高。

今年の8月のまるまるひと月を、ちょうどフィルム1本使って撮っていた。

ノラ猫



繁茂



入りたいのに入れない場所



百日紅




驟雨





まだ青き朝の夏蜜柑



真夏の急階段



8月の終わりに実家の母の誕生日があることを失念していた。
誕生日の前日に母から電話が来て、「今日荷物が届いたんだけど何か贈ってくれた?」と聞かれた。こっちはその電話で思い出したくらいだから無論プレゼントなんて贈るわけもない。「いや、私じゃないよ、弟家族でしょう。」と非常に気まずい返答を強いられた。逆ギレだとは思うけど、当てずっぽうでああいう電話をしてこないで欲しい。誕生日を忘れずにきちんと律儀にプレゼントを贈るなどという周到な技、わたしにできるわけないって知ってるでしょう。そういうソツのない世渡りができるのは真ん中の弟以外にいないでしょう。
その後慌ててプレゼントを見立てた。今年は「霜夜」というステキな名前の付いた万年筆に決めた。母には日記をつける習慣があるから気に入って使ってもらえるといい。贈った翌日に母から電話が来た。「あんなに高いもの贈ってくれなくてもいいのに。」え、別にそんなに高いもんじゃないよ、万年筆としては安い方だからと答えると「だって5000円もしたんでしょ」と母。わたしは値段の書かれた納品書を品物に同封してしまっていたのだった。


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