見出し画像

《無料》ANAの古典的な接客メソッドってこれからの日本をあんまり幸せにできないとおもう。

*これは全文を無料で公開している「投げ銭」制の記事です。
投げ銭方式については最後に詳しく書いています。


今日の記事は読書感想文。
読んだ本はこれ
仕事も人間関係もうまくいく ANAの気づかい

どんな内容の本なのか超簡単に言うと
いまやナショナルフラッグキャリアの
地位に昇りつめたANAが

「おまえらにANAの接客の極意をおしえてやんよ」

とベテラン客室乗務員の接客ワザだの
極意だのをご開陳してくださってる
ありがたーい御本なのですが

これはひどい。
ひどすぎるって言うか

いまの日本のサービス業の現場を
疲弊させてる諸悪の根源は
ここにあったか!という感じ。

ANAがこの本で推奨する
「お客さまに言われなくても察しましょう」
ってやり方を本気にして
真似なんかしたら
「仕事も人間関係もうまくいく」
どころか
いわゆるサービス業に関わる従業員も
利用するお客も双方が疲弊して
すり減ってしまう。

ってか
死人出るぞってくらいに
誰も幸せになれないことを書いてる
公害レベルのゴミ本だとおもった。

ほら日本人って要求を自分から
声に出して言語化せずに済ます
「察してちゃん」
がやたら多いじゃない?

察してちゃんを増長させるだけの
超害悪接客法である「察する」サービス。

なんとANAが社をあげて接客方針に
してるもんだから
幼稚な察してちゃん客は甘やかされ
すくすくと育ち、愛でられ可愛がられて
挙句の果てはモンスタークレーマーに
育て上げられちゃってるのだ。

自分たちで質の悪い客を
率先して育ててりゃ世話無いわな。


ではこれからこの本の内容で
変すぎると私がゾッとしたポイントを
いくつか書き出します。


1:「水がほしい」の意味は100通りある

ってさ、オイオイオイ

特別なことに使う水ならば
どんな用途でその水が欲しいか
ガキじゃあるまいし
自分で言うべきところですよ。

「飲む」以外の用途であれば
自分からふつう言うでしょ。

100通りってバカなの?

そこを100通り言われずとも察するのが
「ANAの気づかいなんです」
って言われても
ANAすごーいとかいうより前に

頭おかしいのではないか?と
ムッチャもにょる。

そこ乗務員が接客時のリソースとして
使うべきとこですか?と
誰か冷静になって指摘しなかったの?

で、誰もそれをおかしいと
思わずに、100通りを察するのが
さも善い事のようにドヤ顔で本に書いて
世に出てしまうってANAって会社は
相当異常だと思うんだが、

よくよく考えたら
これかなり気持ち悪いとおもう。

その上
「水が欲しいと言われたら
その意味は100通り」とか
堂々と本に書く割には
現場ではすごい矛盾してる
サービスばっかりなのはなんで?

例えばだな、具体的な矛盾は
スリッパサービスである。

ファーストクラスだと
搭乗時に客室乗務員がいきなり
スリッパを袋から出して差し出す
余計なお世話サービスがあるんだが

これ、スリッパには100通りの
使い方があるって風に
どうして応用できないのだ?

水には用途が100あって
スリッパはひとつなの?

おかしいでしょそれ。

万が一の時、機外へ脱出するのにスリッパじゃ
怪我するからいま履き替えたくない人

マイスリッパ持参の人

そのスリッパは使わないで
お土産にしたいと思ってた人

私でもすぐに三つは考えつくのに
乗るたびに馬鹿の一つ覚えで
スリッパが差し出されるのは
なんでなのだ。

コンビニで無意識に繰り出される
「Tポイントカードお持ちですか?」
じゃないんだからさ、
察するサービスドヤ!っていってるなら
そこはちゃんと考えようよ。

ファーストクラスの客に
ひざまづいてスリッパを
袋から出して目の前に置き
「どうぞお履きください」
って毎回やってないで
100通りのスリッパ使用法でも
考えたらいいのに。

「水が欲しいは100通り」みたいな
くだらないことは思いつくのに
どうしてスリッパだと
全員同じにさせたがる?

これも結局は
ひとりよがりのおもてなしに
自分たちだけが酔ってるという
明らかな証拠じゃないの?


そしてもうひとつの
気持ち悪い話もかなり衝撃的。


2:機内の毛布かけプレイで嫉妬事件

これ読んだときはANAのCAって
キャバ嬢かなんかなのか?と
非常におどろいたんだけど

寝てる乗客に客室乗務員が毛布をかけてあげたら
自分も毛布をかけてほしかったが
それを言えなかった別の客から
自分も「毛布かけプレイ」を
やってほしかったと
文句が来るっていう話。

ちょっとあまりの衝撃に
どういう文脈でそういう話に
本のページを割いていたのか
すっ飛んでしまったが

もうね、はっきりいって
ここまで来ちゃうとどっちも病んでる。
ANAも客もおかしいよ。

いろんな意味で不健全すぎる。

客は自分でしてほしいことを言えない
でも他の人がやってもらってると
激しく嫉妬するって状況が
機内サービスで起こること自体狂ってるし
おかしいし、歪みすぎだし、幼稚だ。

これねぇ、
客は「察して察して」って
言ってないで
何かをしてほしいなら
自分でちゃんと言えって思うのだ。

そもそもね、
客のほうだっていい大人なのだよ。
ANAの乗務員にいちいち
精度の低い透視能力というか
ドタ勘で察してもらうんじゃなくて

「寝ちゃってたら毛布かけてね」とか
水を特殊な事情で使う必要があるなら
自分から何に使うのか目的ぐらい
一言付け加えたらいかがか?と

自分がして欲しい事は
察してもらうのではなく
自ら伝えられる大人になりましょうって
思ったよ。

「察してちゃん」って
めんどくさすぎないか?

客の幼稚性を増長させて
育んでるのは
ANAみたいな会社なんだなって思った。

この本を読んだ感想は
ズバリ

「気持ち悪い!」

だわ。

客がちゃんと伝えないことを
想像力でを駆使して察して動けって
なんかすごくゆがんだおもてなし
精神だとおもう。

そうなのだ、日本のサービスって
どうしてこう「健全」じゃ無いんだろう

とても不思議だ。

そしてその健全じゃない客たちを
そのまま「のさばらせましょう」
っていってるこの本は
相当なダメ本だと思った。


あと、この本を読んでやっとわかったことが
あった。

3:長年の疑問が解決

ANAに乗るとよくある
「もの」だの「行為」だのをテーマに
客室乗務員が客を無理にほめるという
不思議なサービス。

これはこのANAの接客極意本に
種明かしが載ってたわ。

・「あいさつ+モノ」を会話のきっかけに使う

らしいですわよ奥様

会話のきっかけですって。

会話のきっかけのダシに使われる
私のバッグや靴が不憫でなりません。

目的としては客に興味を持って会話しよう
話し掛けよう
ってことだと思うんだけど。

あいさつ+モノを会話のきっかけに
使うのはいいけど、
モノに言及したら
「それダサいですね」って
方向性はないんだから
まさかいくらだった?と値段を聞いたり
どこで売ってるんですか?とか聞くわけにいかんし
そうなるとモノは話題にしたらほめるしかないわけで

まず興味もないものを
毎回無理やりほめんでよろしい
って思ってます。

身も蓋もないこと言うけど、初対面の人の
持ってるものを上手に嫌味なくほめるっていうのは
上級テクニックなので相当難しいと思うの。

特に本心で良いと思って無いものを
ほめるってすさまじく苦痛だし
仕事だからってやってるのが
見え見えでかえって逆効果。

そしてもうひとつ大事なこと。

特に日本の場合って
上のものが下のものに
「ほめてつかわす」ってやるのが
お作法なわけなので
客室乗務員が客の持ち物や
ライフスタイルをほめるというの
すごく違和感を覚える。

友達なら
「わあ、素敵」ってのはあっても
客室乗務員って友達じゃないからね

だからANAに乗って
すかさず
持ち物をほめられるのとか、
ひっじょーにもやもやしてたのだ。
モノを「ダシ」にして
会話のきっかけをつかもうとしてるって
そりゃ無いんじゃないの?と
ムッとしてしまったよ。

余計なこと言わなくていいから
黙ってろと思ったね。



4:「お客様へ興味を持つ」の意味をはき違え

あとはお客様に興味を持つってのも
質問の内容がプライバシーの侵害ぽくて
ファーストの客の素性を根掘り葉掘りしすぎ。

このサービス本で推奨されてるからか
社内ノルマなのか、
君は週刊誌の記者か?って感じで
質問してくるの相当うざいのだ。

これね、何で不快かっていうと
会話が上っ面だからだよ。
客に興味を持つのがノルマだから
別に本当は興味ないけど
決まった質問をルーティーンで
聞いてるってのが丸わかりだからだ。

例えば今までに質問されたこと
この質問はマニュアルで決まってるのか?
と疑いを持つレベル。

「ホテルどこ泊まったんですか?」
「住んでるとこはどこですか?」
「旅行中は何してたんですか?」

って全部ほっといてくれってやつだ。

他のエアラインのファーストで
こんなこと聞かれたことない。

これさ、ANAの乗務員
客に興味を持つって意味を完全に
取り違えてるでしょ。

察するサービスをしたすぎて
お客さまのリサーチを欠かさないのが
いい乗務員です(キリッ)みたいな
感じになって
根掘り葉掘り客のプライベートを
聞き出すって
自分たちがしたい察するサービスを
優先する余り
客の本当のニーズを無視するって
本末転倒過ぎる。

それは良いサービスじゃなくって
自己満サービスなのは明白。

それこそしつこいけど
水が欲しいには100通りの意味があるとか
偉そうなことを接客極意本に
キャッチーな話として
書いてるのであれば
ファーストクラスの乗客にも100通りの
察してほしい事情があるんだから
それこそ各旅客の事情を
「察する」ことができないと
バランス悪いんではないか?

そうなのだ、
ANAのサービスの違和感は
この整合性の取れてなさ。

「察する察する」とやたら言ってる割に
察するための情報を引き出そうとして
ファーストの客を質問攻めにする、
そこで客がプライバシーの侵害をされて
嫌がってることは都合よく察しないっての
あまりにも空気読めずの鈍感過ぎではないか?
と不思議に思うのである。

察するサービスをする材料を集めるのに
必死になりすぎて目の前の客が見えてない
だから機内で客を事情聴取してるみたいに
なるんだよ。
これじゃあ本末転倒だなと。



5:最後に

さて最後になりましたが
「ANAの気づかい」って本を読んで
つくづくおもったのは
この現在の接客業界地獄絵図って
客が全面的に悪いわけではなく
先回りして察するばかりやる
ANAのような甘やかし気質の
サービス提供側の責任もかなりあるなぁ
ってこと。

だってサービスやら接客のコツを本まで出して
教えているANAがこれなんだもん。

そりゃ察するサービスが最高って
間違った価値観に洗脳されるとこも
出てきちゃうよね。

はっきり言うよ

サービスする側の「察するサービス」と
幼稚な客の「察して気質」は
誰も幸せにしない
悪魔のループだって
早くみんな気が付こう。

これは不健全なサービスの形態なのだ。

健全なサービスとは何か?
察するんじゃなくて、
客から言われたオーダーを
エラーせずにこなすことなんじゃないのかな。

客も言わないでもわかれって態度を改め
例えば
コンビニの弁当に箸をつけてほしいなら
聞かれる前に「箸下さい」って言う
飛行機で毛布が必要なら
「毛布下さい」って自分で言う
水が欲しけりゃ水下さいという
意思表明に慣れるのが第一歩だ。

それにはやっぱり
客は察しろと強要しないこと
サービス側も勝手に察して
先回りしようとしないこと

これさ、もうそろそろ立ち止まって
意識を変えていかないと
もっともっとみんな苦しむことになるとおもうよ。

多くの人を不快にして苦しめている
察するサービスは一刻も早く廃れてほしい。

この記事は投げ銭制にしてます。
全文を公開してますが
最後まで読んでおもしろかったり
応援したいとおもったら是非
「この続きをみるには」の購入するを押して
そこからクレジットカードを使って
投げ銭してください。
noteへID登録とかいりません。

この先は
投げ銭してくださった方へお礼に
ANAファーストクラスで実際に受けた
「察する」サービスの画像と
そのおまけエピソードを貼っておきます。

=====

続きをみるには

残り 300字 / 1画像

¥ 380

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

いつもサポートありがとうございます。いただいたサポートは執筆に必要な取材費用として使用致します。