見出し画像

書記の読書記録#128「ガリヴァー旅行記」

スウィフト(訳:平井正穂)「ガリヴァー旅行記」のレビュー


「Bokklubben World Library」対象本。


レビュー

『ガリヴァー旅行記』(Gulliver's Travels)は,アイルランドの風刺作家ジョナサン・スウィフトにより仮名で執筆された風刺小説である。原版の内容が大衆の怒りを買うことを恐れた出版社により,大きな改変を加えられた初版が1726年に出版され,1735年に完全な版が出版された。

突飛な発想よりも作者の性格の悪さが前面にでた作品,言ってしまえば「アンサイクロペディア」のようなものだと思う。時代性を加味すれば重要な作品であることはわかるが,全体的に冗長で無駄の多い記述が目立つ。「アンサイクロペディア」としての楽しさは,沼正三「家畜人ヤプー」がそれに勝る。

フウイヌム国をはじめとした各国のモデルが気になるところではあるが,それこそまさに実在しない「ユートピア」を元としているのかもしれない。しかし,結局それは著者の思考に縛られた虚構に過ぎないのだろう。

時代背景メモ:
18世紀のイギリス(グレートブリテン王国)の政党,ブレフスキュ国にフランスを表現,ヘンリー8世の行った処刑や追放刑により始まったイングランド国教会とカトリック教徒の諍い,王立協会への風刺,啓蒙主義運動,種族的カースト制度


本記事のもくじはこちら:


学習に必要な本を買います。一覧→ https://www.amazon.co.jp/hz/wishlist/ls/1XI8RCAQIKR94?ref_=wl_share