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書記の読書記録#381『短篇コレクションI (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)』

『短篇コレクションI (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)』のレビュー


金達寿「朴達の裁判」は『戦後文学の現在形』収録作。


レビュー

世界各地から集めた粒揃いの短編。知らない作家を知るいい機会になり,また近年の世界情勢を推し量ることもできる。

ピックアップ:

コルタサル 「南部高速道路」

初っ端はアルゼンチンの文学。日常世界に隣接した気だるさの感覚がよく読み取れる。長いようで短い,時間感覚を麻痺させる,短編ならではの良さがある。

ディック 「小さな黒い箱」

題名からしていろんなイメージが湧いてくる。システマチックな世界観は個人的に好みに合う。

金達寿 「朴達の裁判」

本書の中では比較的長い作品。笑いに込められた怒りを読み取った時,饒舌な語りに引き込まれていく。

目取真俊 「面影と連れて」

最後は方言マシマシの日本文学。やはり誰かに語りかける一人称は圧倒的な虚構を産むようだ。


もくじ

コルタサル 「南部高速道路」 
パス 「波との生活」     
マラマッド 「白痴が先」   
ルルフォ 「タルパ」     
張愛玲 「色、戒」      
イドリース 「肉の家」    
ディック 「小さな黒い箱」  
アチェベ 「呪い卵」     
金達寿 「朴達の裁判」    
バース 「夜の海の旅」    
バーセルミ 「ジョーカー最大の勝利」
モリスン 「レシタティフ──叙唱」
ブローティガン 「サン・フランシスコYMCA讃歌」
カナファーニー 「ラムレの証言」
マクラウド 「冬の犬」
カーヴァー 「ささやかだけれど、役にたつこと」
アトウッド 「ダンシング・ガールズ」
高行健 「母」
アル=サンマーン 「猫の首を刎ねる」
目取真俊 「面影と連れて」


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