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書記の読書記録#54「君は永遠にそいつらより若い」

津村記久子「君は永遠にそいつらより若い」のレビュー


レビュー

思いの外世間の評価は高いようだ。近日映画化するというのも話題(なんか一部モチーフが誇張されそうな雰囲気,原作における日常の濃度は再現されるのだろうか)。


このルサンチマンというのか,こじれ具合に共感するのか?文章が長ったるいしモチーフは散逸しているしで,読むのが面倒で苦痛だった。カタカナの多用も特に効果的には感じなかった。いかにも文学をやろうといった感じ。


しかし,この段階で既に現実に対する無常感を与えうるところは評価点か。諦観に支配されていて,なんの励ましにもならない,これが救われない世界の起点なのだろう。


ある作品を引き合いに出すとき,ごくごく一部のモチーフを過剰にまで強調しがちだが,本作の評価もだいたいそんな感じだと思う。モチーフ本来の像は,雑多な全体の中にぼやけていて焦点が合っていないのであった。


「戦後文学の現在形」にて紹介された本。


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