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書記の読書記録#542『ヨーロッパ思想史 ――理性と信仰のダイナミズム』

金子 晴勇『ヨーロッパ思想史 ――理性と信仰のダイナミズム』のレビュー


レビュー

理性や霊性,世俗などをキーワードとした,一貫性のある思想史。主要人物だけでなくその周辺の評価にも詳しい。


もくじ

はじめに
Ⅰ 古代
第1章 ギリシア思想の特質
神話に現われた「霊」
ギリシア宗教の諸段階
哲学の誕生
ソクラテスの愛知活動とプラトン哲学
心身の人間学的二分法
アリストテレスの哲学体系
有名な存在論の主張
第2章 ヘブライズムの思想的特質
旧約聖書の思想
創造思想
契約思想
キリスト教の成立
イエスの教え
パウロの根本思想
ヨハネの教え
使徒後教父の思想
第3章 教父思想の特質
ユスティノスとプラトン主義
オリゲネスの学説
オリゲネスの霊性
ニカイア公会議とアタナシオス
東方教会の成立
第4章 アウグスティヌスの思想
思想と基礎経験
「不安な心」
プラトン主義とキリスト教
哲学の新しい出発点
人間の定義と身体論
「神の像」の探求
人間学的三段階説
古代末期かキリスト教的な古代か
ローマ帝国の「再建」・「修復」・「新生」
ギボンの名著『ローマ帝国衰亡史』との比較
Ⅱ 中世
第5章 中世思想の構造と展開
中世社会の成立とその特質
東方教会の発展
権力構造(王権と教権)と修道院
修道制の確立──中世的な霊性の形成
教皇制度の確立
修道院の改革と新しい修道会の設立
一二世紀ルネサンス
ヨーロッパ的な愛と吟遊詩人トゥルバドゥール
宮廷的愛の変化と『薔薇物語』
第6章 中世初期の思想家とスコラ哲学
ボエティウス
スコトゥス・エリウゲナ
中世初期のスコラ学の特徴
アンセルムス
アベラールの思想
一二世紀におけるアリストテレスの受容と思想の変化
大学と教育改革
第7章 トマス・アクィナスの神学体系
神学大全の構成と方法
自然神学の諸問題
恩恵と自由意志
霊性的知性
理性と霊的な知性
神の観想における霊性作用
愛徳と霊性
第8章 後期スコラ哲学の展開
トマスとスコトゥス
スコトゥスの主意主義
オッカムの二重真理説
一五世紀におけるノミナリズムの意義
ルターによる後期スコラ神学の批判
第9章 神秘的霊性思想の展開
アウグスティヌスの伝統
クレルヴォーのベルナールの霊性思想
人間の霊と本性の高貴さ
ボナヴェントゥラの神秘神学
エックハルトの神秘主義
タウラーの霊性
『ドイツ神学』の霊性
近代的敬虔
第10章 ダンテと中世文学の思想
中世文学の展開
宮廷的恋愛詩
ダンテの『新生』
ダンテの『神曲』
ペトラルカ
第11章 キリスト教共同体の終焉と近代への移行
ダンテの『帝政論』
マルシリウスの『平和の擁護者』
クザーヌスの『普遍的一致』その他
中世から近代への深い溝
Ⅲ 近代
第12章 ルネサンスと宗教改革の思想
ルネサンスとは何か
イタリア人文主義の思想──ぺトラルカ、フィチーノ、ピコ・デッラ・ミランドラ
ぺトラルカのヒューマニズム
フィチーノのプラトン主義
ピコ・デッラ・ミランドラの「人間の尊厳」
調和の哲学──ニコラウス・クザーヌス
エラスムスの「キリストの哲学」
ルターの信仰特質
ルターによるキリスト教的霊性の定義
プロテスタンティズムの思想史的意義
創造的な主体としての身体と霊の可視化
付論 宗教改革時代の自然学
第13章 宗教改革から近代思想へ
プロテスタンティズムの歴史的な成果と残された問題
宗教改革と近代思想との時代区分
トレルチによる時代区分
世俗化としての近代文化の特質
近代を中世から分かつ「深い溝」
伝統的な宗教的権威に代わる自然的宗教の意義
第14章 近代的自我の確立
近代精神史の三つの出来事
デカルトのコギトと哲学の出発点
パスカルの問いと人間の理解
デカルトとパスカル
第15章 啓蒙思想と敬虔主義
啓蒙とは何か
イギリスの啓蒙思想
フランスの啓蒙思想
ドイツの啓蒙思想
敬虔主義の覚醒運動
シュライアマッハーの『宗教論』
第16章 ヘーゲルの思想体系
ヘーゲルとフランス大革命
ヘーゲルの『精神現象学』
弁証法とは何か
ヘーゲル『法の哲学』の共同体論
歴史の弁証法とその影響
第17章 ヘーゲル体系の批判と解体
フォイエルバッハの人間学的解体
マルクスのヘーゲル批判と史的唯物論
キルケゴールによる哲学の実存的還元
単独者への問いとその克服の道
第18章 近代ヨーロッパ文学の人間観──近代の宿命とその根源
近代の宿命
ペトラルカの懊悩
エラスムスの『痴愚神礼讃』
近代ヨーロッパ文化の特質
近代ヨーロッパ文学の黄金時代
神の前に立つ良心
Ⅳ 現代
第19章 現代ヨーロッパの思想状況
第一次世界大戦後の思想状況
ワイマール文化
実存思想と現象学
現代ヨーロッパの社会思想
現代文学の潮流
現代ヨーロッパの哲学から何を学ぶのか
思想と基礎経験
第20章 ヨーロッパ思想の世俗化
世俗化とは何か
自律的文化と宗教的象徴の消滅
ヴェーバーの世俗化論
世俗化された人間像
世俗化社会における人間性の回復
終章 文化変容と文化史
文化変容の原因
文化変容の諸形態
あとがき


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