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書記の読書記録まとめ

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今までに読んだ本についてのレビュー。 ブクログ:https://booklog.jp/users/9512a62a15b04973
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2023年8月の記事一覧

書記の読書記録#1030『100年前の東大入試数学 ディープすぎる難問・奇問100』

林 俊介『100年前の東大入試数学 ディープすぎる難問・奇問100』のレビュー レビュー本書は,東京帝國大学の入試問題の解説という,ニッチな分野の開拓に成功した本だろう。問題は解析学の分野についてピックアップされており,学部レベルの微分積分や力学の分野も混ざっている。 もくじはじめに 本書の解説を読むにあたって ・・・問 題 編・・・ 序章 100年前の東大入試数学に挑戦! ・・・解答・解説編・・・ 第1章 確率から極限まで! 思わずうなる「オモシロ問題」 1 確率

書記の読書記録#1029『代数系と符号理論入門』

坂庭 好一,渋谷 智治『代数系と符号理論入門』のレビュー レビュー有限体を中心に代数学に比重が置かれており,ある程度の理解は前提に符号理論への応用を概観する。 もくじ0. 序章 0.1 有限体とは 0.2 誤り訂正符号とは 章末問題 1. 代数系の基礎的事項 1.1 集合と写像 1.1.1 集合 1.1.2 写像 1.1.3 同値関係 1.2 群と体 1.2.1 群 1.2.2 体 1.2.3 環 1.2.4 準同型写像 1.3 行列と線形空間 1.3.1 行列 1.3

書記の読書記録#1028『俘虜記』

大岡 昇平『俘虜記』のレビュー レビュー敗北がもたらす堕落を端的に示した作品で,まさに戦後文学を代表するものと言える。これぞ去勢だなと。後半になるにつれてユーモアが増して弛緩していくにつれ,前半の不殺のテーマが張り詰めるといった構成を感じた。 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#1027『Pythonで始めるOpenCV入門』

t-tetsuya『Pythonで始めるOpenCV入門』のレビュー レビューOpenCVのチュートリアルのような入門書で,Kindle Unlimitedで読む分には優れた本。 もくじ1.はじめに 2.対象の読者/取り扱う内容 3.画像処理の基礎知識 4.環境構築 5.OpenCVでの画像処理の基本(1):入出力,HighGUI 6.OpenCVでの画像処理の基本(2):画像の変換,2値化 7.OpenCVでの画像処理の基本(3):平滑化,エッジの検出 8

書記の読書記録#1026『Pythonで学ぶ画像認識 機械学習実践シリーズ』

田村雅人,中村克行『Pythonで学ぶ画像認識 機械学習実践シリーズ』のレビュー レビュー画像分類・物体検出・画像キャプショニングといった問題を,ResNet・Transformerおよびその派生を用いて,PyTorchで実装できる中級者向けの実装本。Colab上で手軽に動かせるのが良い(COCOデータセットは約6GBあるのでダウンロードには注意)。 もくじ序章 第1章 画像認識とは? 第2章 画像処理の基礎知識 第3章 深層学習を使う準備 第4章 画像分類 第5章 物体

書記の読書記録#1025『オイラー、リーマン、ラマヌジャン―時空を超えた数学者の接点 (岩波科学ライブラリー)』

黒川 信重『オイラー、リーマン、ラマヌジャン―時空を超えた数学者の接点 (岩波科学ライブラリー)』のレビュー レビュー『論数論 I Fermatの夢と類体論』『形式数論II 岩澤理論と保型形式』の著者の一人による,ゼータ関数の歴史について主要な数学者ごとにまとめた入門書。 もくじ第1章 ピタゴラスからオイラーへ  [コラム]循環計算 第2章 オイラーからリーマンへ  [コラム]リーマン予想 第3章 ラマヌジャンという天才  [コラム]数学の未来へ 付録1 素因数分解の一

書記の読書記録#1024『楕円関数論 増補新装版: 楕円曲線の解析学』

梅村 浩『楕円関数論 増補新装版: 楕円曲線の解析学』のレビュー レビュー楕円関数について比較的最近に出版された教科書で,武部『楕円積分と楕円関数 おとぎの国の歩き方』の次のステップとして使える。 もくじ第1章 楕円関数論の基礎 第2章 Weierstrassの楕円関数 第3章 テータ関数 第4章 Jacobiの楕円関数 第5章 楕円曲線のモジュライ 第6章 楕円関数の応用 付録(アフィン多様体/Zariski位相/射影多様体/4次曲線 他) 公式集 梅村浩氏の楕円関数論

書記の読書記録#1023『音のアレイ信号処理 (音響テクノロジーシリーズ)』

浅野 太『音のアレイ信号処理 (音響テクノロジーシリーズ)』のレビュー レビュー音源定位や音源分離などに必要な技術についての教科書で,数学的な説明に詳しく線形代数の知識の応用が頻出する。 もくじ1.アレイ信号処理の基礎 1.1 アレイ信号処理とは 1.2 音の伝搬とそのモデル 1.2.1 座標系 1.2.2 伝搬波とアレイ・マニフォールド・ベクトル 1.2.3 平面波 1.2.4 球面波 1.3 音響空間とそのモデル 1.3.1 音響空間 1.3.2 観測信号のモデル 1

書記の読書記録#1022『解析力学1・2 (朝倉物理学大系)』

山本 義隆・中村 孔一『解析力学1・2 (朝倉物理学大系)』のレビュー レビュー解析力学の本格的な教科書として定評があり,2冊目以降として理解を深めるには良い。 解析力学の1冊目として畑『弱点克服 大学生の解析力学』を用い,さらに微分幾何学や多様体を和達『微分・位相幾何』や松本『多様体の基礎』で学習してきた自分から見ると,パッと見は数式の密度が高く難しく見えるが,意外とテンポ感はよくじっくり読むには適していると感じた。 もくじⅠ巻 1. 序章――数学的準備  1.1 

書記の読書記録#1021『武蔵野夫人』

大岡 昇平『武蔵野夫人』のレビュー レビュースタンダールやラディゲのオタクによる,恋愛心理の分析の教科書。話の筋は通俗の域を出ないが,さまざまな自然描写や独白により上品な仕上がりとなっている。あまりに観念的で分析的な読み方を強要されるのが難ではあるが。 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#1020『岡本梨奈の 1冊読むだけで古文単語&古文常識が面白いほど身につく本』

岡本 梨奈『岡本梨奈の 1冊読むだけで古文単語&古文常識が面白いほど身につく本』のレビュー レビュー単語帳としては入試によく出る300語を収録,暗記として最低限の量をこなす用。 もくじ第1章 グループに分けて覚える古文単語(第1~6節) 第2章 「昔」と「今」の対比で覚える古文単語(第7・8節) 第3章 敬  語(第9~12節) 第4章 古文常識(第13~20節) 巻末 見出し語の例文リスト 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#1019『音響システムとディジタル処理』

大賀 寿郎,金田 豊,山崎 芳男『音響システムとディジタル処理』のレビュー レビュー『Pythonで学ぶ音源分離 機械学習実践シリーズ』の参考文献のうちの一つで,1995年発行当時までの音響の信号解析についてまとめた教科書。 もくじ序論/基本的な理論/AD-DA変換システム/高能率符号化システム/音響信号処理の基礎技術/音場計測システム/マイクロホン系における信号処理/騒音の能動制御/音場の制御 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#1018『可換環論入門』

マイルス リード(訳:伊藤 由佳理)『可換環論入門』のレビュー レビュー可換環論の比較的易しめな教科書で,代数幾何との繋がりも見える。 もくじ0 こんにちは! 1 基礎 2 加群 3 Noether環 4 環の有限次拡大とNoetherの正規化 5 零点定理とSpec Aの幾何学 6 商環S-1Aと局所化 7 準素分解 8 DVRと正規整域 9 さようなら! 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#1017『医用工学ハンドブック』

佐久間 一郎,秋吉 一成,津本 浩平(編集)『医用工学ハンドブック』のレビュー レビュー生体計測やロボット,機械学習,モデリングなどさまざまな医用工学の概要をまとめた本。最新技術において核となる要素を知るにも良い。 もくじ第1編 現状と動向  第1章 医用工学の現状と技術開発  第2章 技術開発と QOL 第2編 医用工学の基礎知識  第1章 医用工学における生命科学    1.ゲノム    2.質量分析とプロテオミクス―医療応用のためのトランスレーショナルプロテオミクス