小さな小さな紙袋と男の子-すずころ日和 小雨の中-
朝、けっこう雨が降っていた。
昨夜なかなか寝られなかった黒柴すずは鳴くこともなくおとなしく待っている。こういう時は、雨がおさまるのを待つ。
しばらくして外を見る。庭の水たまりがはねていない。
「雨やんでるから、今のうちに行こうか」
いつもより遅い午前9時30分の朝散歩。
こんなとき、散歩中の犬によく会う。
いつも早朝散歩で会うご老人ともすれ違う。
「みんな雨上がるのを待っていたんだなあ」そんなことを考えながら歩いていると、また少し雨がポツポツ降ってきた。
傘なくても歩き続けられるけれど、傘をもし持っていたらさす。そんな小雨。
歩道の前方から、一人の男の子が歩いてきた。20歳前後かな。
歩く彼が手に持っているのは、大柄な彼には不似合いなサイズの小さな小さな紙袋。それだけ。バッグもなし。いわゆる手ぶら族なのか。
上着も羽織っていないスウェット姿。
ズボンのポケットに携帯と財布、というところかな。
散歩では色々な人とすれ違う。
人のほうにいこうとする場合がある愛犬のリードを短かく持って、道の端でちょっと待って彼とすれ違う。
彼はこちらを見ることもなく、スタスタと歩いていた。
バッグも何も持ってないので、とても小さい紙袋だけが目立つ。
小さな小さな紙袋。ツルッとした上質な紙袋の上を銀色のシールが閉じていた。
あの独特のサイズ。目にすると心がちょっと踊る小さなサイズ。
アクセサリーのプレゼント。
一目でそれと分かる袋を持って、小雨の中を歩く彼。
近くの駐車場に行くのかな?
どうやら違うようで、彼は歩いて行った。
この先のバス停かな。
天気の悪い日。
少し雨にうたれた紙袋を、待ち合わせの彼女はどう受け取るのだろう。
「え、うれしい!!」
理想系だ。満面の笑顔。完璧なプレゼントの受け取り方。
こういうかわいさが女子に必要なのだと、当時どうして気づかなかったのか。
「え、あ、ありがとう…」
(せめて、別の袋に入れて持ってきてよ)
言葉はお礼。雨に濡れた袋を見て、中身は無事なのだから。と自らに言い聞かすパターン。
「もー!そのままもってきたの?濡れてるやんw」
つっこみつつも
「ありがとー、ね。中みてもいい??」
あ、これもいいな。
「あ、ありがとう…。でもさ、普通プレゼントとか人に渡すものは濡れないようにとか考えない?せっかくくれるのに、なんか嬉しさ半減っていうか。大事にされてないのかな、とか思っちゃう。天気悪いのわかってるんだから、こんな時くらいバッグにでも入れて持ってきてよね」
あー、これもありそうだ。お母さんかな、という真っ当なツッコミ。
彼は「そういうもんか」と学ぶだろうか。
せっかく選んだのに。となりそうだな。
この年齢になったからなのか、は分からない。
でもちょっと不似合いな高級そうな小さな紙袋だけを持って歩く姿はなんかいいな、と思った。
濡れないように、せめて紙でもいいから袋にいれて持ってあげて!
とは思ったけれど。これはお母さん目線。
一目で分かるプレゼントだけを持って、現れる彼。
えー、いいな!!!
しかもこんな朝だよ?朝からデートかな。
どのパターンで彼女は受け取るのだろうか。
彼からのアクセサリーのプレゼント。
ああ、妄想とときめきと勝手な恋バナを想像する。
たーのーしーいー(〃ω〃)
散歩では色々な人とすれ違う。
顔がニヤニヤしてしまうのを、ちょっと抑えられなかった。
今日も最後までありがとうございました。
都会ではきっと当たり前の光景なのかも?
田舎の田んぼに通る道での出来事に、朝からワクワク。
今日の日曜日、あなたはどんなふうに過ごしていますか。
アクセサリーの素敵な思い出、ありますか。
ではでは、また。
皐月
⭐︎今日のすずさん⭐︎
濡れたまま、お風呂場に直行。月に一度のお風呂でフワフワになりました♪
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