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思い出「架け橋」

【昔話】

最近、9歳の時の文集を見つけた。

その中の1記事を読むと俺はこの頃、鉄道模型クラブに入っていた。

鉄道模型クラブは、先生の趣味で設立したようだった。

当初、鉄道模型クラブを作る時、先生全員からかなり反対されたようだ。

鉄道模型なんてただの遊びだとか

学ぶ事なんて何もないじゃないかとか

先生の趣味に学校が予算を出すのはおかしいとか

猛烈に反感を食らっていた。

でもこの先生は、それでもクラブを作りたいと皆を相当説得したようだ。

事当時の風潮は、鉄道模型なんておもちゃでしかなかった。

当時は、ジオラマの材料も少なくプロでも完成度は良くなかった。

今の鉄道模型は、リアルなジオラマが芸術レベルまで達している。

ここまでくれば、先生たちも簡単に説得できただろう。

これが、鉄道模型の芸術と文化だと。

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【無理が通れば道理引っ込む】

この猛烈な向かい風の中、先生は強引に鉄道模型クラブを作ってしまった。

でもクラブが認められるには、条件があった。

クラブの人数6人以上集める事と、予算は全部自腹。

これを受け入れればクラブを作って良いという条件だった。

そして先生は、この条件を受け入れクラブを作る事にした。

そして、クラブ員を募集し集まった人数は、俺を含め丁度6人。

こうして何とか鉄道模型クラブが設立した。

俺がこのクラブに入った目的は、大好きな鉄道模型で遊べるからだった。

俺は、8歳の時に友達の家で鉄道模型のジオラマを見せてもらった。

その時、鉄道模型のジオラマの光景に物凄く感動してしまった。

そこから、もう鉄道模型の虜になってしまった。

そして鉄道模型クラブで、ジオラマ作成をする事になりワクワクしてきた。

あの感動したジオラマの光景を、自分で作ってまた味わえる。

そう思うとクラブ活動が凄く楽しみで仕方なかった。

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【夢の設計図】

クラブ活動では、電車が走るコースを決め作図をみんなで考えた。

そして完成したコースは、10畳部屋位の大きさの壮大なコースだった。

でも、先生が予算がないと言う事で却下されてしまう。

でも予算内と言われても我々は、鉄道模型の相場なんて解るはずもない。

なので最初に先生の予算で揃えられる鉄道模型を買って来て貰う事にした。

そうして買って来て貰った物は、想定をはるかに裏切られていた。

円のコースのレール、汽車の6両編成、コントロールユニット。

それだけしか買って来てくれなかった。

でも、これだけ揃えたら4万円超えたと言っていた。

我々はこの時、鉄道模型は相当高価な物なのだと理解した。

確かにこれで4万円越えなら、わがままな我々もあきらめがつく。

仕方ないので、円型のコースだけの小さいジオラマを作る事にした。

とは言っても、我々は初心者でジオラマ作りなんて全く解らない。

しかも先生自身初めて作ると言っているので、頼りにならなかった。

そこで我々は、鉄道模型の本を読み漁り、0から作り方を調べてた。

そして、大体の作り方の知識を皆で集め、作り始めてみた。

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【不思議な街作り】

作り方は、紙粘土で山や地形を作り、その上に色々な小物を設置していく。

我々は、紙粘土で山を作り、その上に芝パウダーをかけて山らしくした。

更に鉄道模型用の木があったので、それを1本1本差し込んでいった。

この作業を何日も繰り返し、ようやく山が完成した。

自分で言うのもなんだけど、もの凄く良い出来に仕上がった。

この感動冷めやらぬまま、次は平地に街を作る作業を始めた。

平地にも芝パウダーを引き、その上に飛行場で使う模型の滑走路を置く。

当時、道路のジオラマ用部品は無かったので滑走路を代用し道路にした。

そして、家とかビルを設置するのだけど、そんなジオラマ部品も無い。

唯一あったジオラマ部品は、駅位しか無い時代だった。

そこで我々は、紙粘土で家やビルを作る事にした。

この時、建物のサイズは正確に測る事なんてしてなく、感で作っていった。

とは言っても、鉄道模型の155/1スケールなんて図り方が解らない。

当然作った建物ののサイズは、見た目からしてサイズが合う事も無く。

それでも大体のサイズで、建物を作りガンガンおいて行った。

俺はこの時、サンシャイン60を作った覚えがある。

確か俺が作った建物だけ凄く高くそびえ立ち、完全に異質な物になってた。

この建物たちは、絵の具で色を塗りそれっぽく見せた。

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【手抜き工事】

そして、とうとう鉄道模型のジオラマが完成した。

もちろん家やビルのサイズはバラバラで、全然しっくりこない。

そこは、まるで異空間の世界のオーラを放っていた。

俺の作ったサンシャイン60はくの字に曲がっているし。

でもみんな、完成した事にご満悦だった。

そして早速Nゲージを走らせてみた。

そうしたら、もう感動のあまり涙が出てきた。

このへんてこでなファンタジーの異空間に鉄道模型が走り始めた。

その事だけで、嬉しくてたまらなかった。

この瞬間、我々の死闘は報われたのだった。

そして感動冷めやらぬまま、名残惜しくクラブの時間が終わった。

その時ジオラマを邪魔にならない場所に移動させる事にした。

その時、俺の作ったサンシャイン60が真っ二つに折れてしまった。

しかも、下に立ち並ぶ家々を巻き込み破壊してしまった。

この時俺は、皆にこんなビル建てたせいだと責められてしまった。

この後しばらくクラブの時間は、ジオラマの復興作業になってしまった。

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