庭仕事は瞑想するのと同じ
ヘルマン•ヘッセ「庭仕事の愉しみ」を読みました。
私が選んだポイントは以下の3点。
①私は土を焼くことを高く評価している
→今日では人びとはそのようなことはしない。化学は土地を改良し、肥やすことができる。酸を中和する別の方法を人びとは見つけた。しかし、すわって焚き火をし、土を焼く時間をかけてわずかな果実を得る。瞑想者にとって、それらは貴重なもの。それどころか、人間を思慮深くなるように落ち着かせる神聖なものだ。
②土と植物を相手にすることは
→瞑想するのと同じように、魂を解放し、休養させてくれる。草取りは私にとれば、いわば、半日か丸一日の間繰り返し頼りにできる常用の阿片のような利点があるのです。
③編者あとがきより
→この作品は自然への賛歌であり、自然の秩序を無視すれば罰せられる自然の法則と調和した人間の生き方に捧げられる賛歌である。ヘッセの作品が読者に感銘を与えるのは、それが借り物ではなく、ヘッセ自身で獲得し、体験したものだと読者に伝わるから。
私の感想
上記①について
化成肥料や堆肥などの安易な方法ではなく、時間や手間をかけたところに喜びがある。だからヘッセは古いやり方が気に入っている、私はそう理解しました。現代の無農薬栽培や菌ちゃん農法などで、原点回帰もされていますが、効率的な農法やガーデニングではなく、手間をかける良さが何となくわかりました。
上記②について
無心になって身体を動かすことで得られる恍惚は、歩くことや走ることでも得られるのですが、庭仕事にもそれがある。私も無心になる時間で、心が平穏になるのを体験しています。
上記③について
作品には、絵画が入り、書簡が入り、小説が入ります。本当にヘッセの日常が伝わる本で、だから共感できるんだなあ、と編者の解説を読んで納得でした。
ありがとうございました。
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