見出し画像

出前機

このコラムを読んで思い出したことがあります。

私の息子のお嫁さんの親族にお蕎麦屋さんがおられます。そのお蕎麦屋さんは、洒落た蕎麦屋ではなく、昔からの商店街の中にある普通のお蕎麦屋さん、丼ものなんかも美味しい奴です。
過日息子ら夫婦などと行きましたが、昔ながらの蕎麦屋さんで昭和のジジイにはとても落ち着く店でした。
行ったのが土曜の昼時という忙しい時間帯でしたが、お客さんはひっきりなし。それも近所で仕事の合間に昼めし食いに来たという人がほとんどでした。

店は大将と奥さんの二人で、結局お嫁さんの両親も一緒にそばを食う(酒を飲む)つもりでしたが、お母さんの方がこのお蕎麦屋さんが実家なので、昔取った杵柄でしょう。途中から注文とったり、配膳したり、勘定したりと生き生きと働く姿を見て、ああこのお母さんの娘なら、息子もしっかり尻を叩いてもらえるだろうと安心しました。

蕎麦も美味しくいただいたのですが、昼のお客さんが少し退けた頃に、出前の話になり、大将が高校生の頃に「親父からカブの免許を取れ」と言われ、そんなのとったらただでさえ出前に使われるのに、さらに忙しくなるのはクワバラと、拒否していたら、なんと学校に通うのに使っていた自転車(店の業務用自転車)に「出前機」をつけられて「これで出前してこい」ということになって、さすがに学校に「出前機」付きのチャリで登校するのは勘弁してくれ、とカブの免許を取ったという笑い話をしてくれました。
丁度ここの息子(高校一年)も帰って来て、店で昼飯を食べていましたので「あんたも原付免許取らにゃあ」と言ったら親父同様に「こき使われるのは嫌」と返答したので、「あんたの通学用自転車に気が付いたら出前機つけられるぞ、時代は繰り返すけえのう」と要らんことを言いました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?