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Bunker

貧すれば鈍するといいますが、どうにも呆れた話です。

最初は「多機能な複合防衛拠点」とのことで、そりゃあ呉の港からすぐ見える場所ですから、海上自衛隊には便利なんだろうな~と思いました。記事にあるように様々な補給施設や病院なんかが整備されるのであろうという程度のイメージ。「1つ目は、民間企業の誘致を含む装備品などの維持整備や製造基盤、2つ目はヘリポートや物資の集積場などの防災拠点と艦艇の配備や訓練場など自衛隊の活動基盤、3つ目が岸壁などを活用した港湾機能」
しかしこの「多機能な複合防衛拠点」という曖昧な表現、解釈する方がどうとるかで足もと掬われるのは、沖縄の基地問題でよく見ていたことでもありました。
一日経つとこんどはその「多機能な複合防衛拠点」の中に弾薬庫があることが出てきました。

こりゃまずいんじゃないのかな?北朝鮮からミサイルの話も「ターゲットが原発だったらどうするんだ」みたいな声が上がりましたが、当然ながら軍備の集積地がターゲットにされるのは当然。それも米軍が混ざっていないとなると最適。それが過疎化が進むとはいえ人口密集の市街地近くだろうがどうだろうが相手国には関係ありません。そんな一般市民の住んでいる近くに作る方がどうかしてるんじゃないのか?と言われるのがおちです。

私はもう20年近く前になりますが、マイクロフィルムと電子化、スキャニングの関係でアメリカを視察したことがあります。アトランタで展示会があり、その後ニューオリンズ経由でミシシッピのド田舎にバスで行きました。州都のジャクソンからまだ2時間くらいかかる何もない平地。「ここです」と言われて着いたのが米軍の元弾薬庫跡。地面に土饅頭がいくつも立ち上がっていて、よく見たらそこに入り口があり、その中がドキュメントの保管センターだったのです。
実はその前に行ったアトランタはスキャンのセンターがありました。全米の保険会社から受託しているもので、そこで保険証書、契約書をスキャンし、そのデータはデータセンターにアップされます。アトランタと同じような入力センターが全米の各所にあり、保険証書、契約書がそれぞれスキャンされ、原本の方はこの弾薬庫跡に運ばれます。
弾薬庫ではその原本を受け入れて、先ずはマイクロフィルムに撮影(自動撮影)した後、弾薬庫の棚に運ばれるのです。
当時は法的証拠能力は原本(紙)もしくはマイクロフィルムとなっており、データは改竄の恐れがあるので、基本的に検索のみに使われていました。
例えばニューヨークで「あの契約はどうなっているのか」と問い合わせがあれば、ニューヨークの支店のパソコンでデータベースを見て回答するのですが、それでも不十分な時は、このミシシッピの方に連絡が来て、マイクロフィルムから出力したものを宅急便で届けるという仕組みでした。
アメリカっていうのは原本、マイクロフィルム、データの役割が明確になっていることに関心。日本とは段違いです。日本では原本かデータしかなく、さらに原本も容易に廃棄したりしますからね。

さてその弾薬庫ですが、先ほども書いたように周りには何もないド田舎で、上から爆弾が落ちてきても大丈夫なコンクリートでがっちりと固められ、地下で繋がっている頑丈なバンカーといわれる構造。これが弾薬庫なんだと驚きました(軍から買い取ったそうです)。弾薬庫ですから何かあるとまずいので人里離れたところ、かつなにかあっても大災害にならないような構造でした。
それに比べて呉…製鉄会社が無くなり躍起なのはわかりますが、貧すれば鈍とはこのこと。どうかしてるね。
沖縄の県議会とは随分向いている方が違うようです。



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