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人はソウル、馬は済州島

私はBSの国際ニュースの方を毎朝見る(国内ニュースは地元紙をチラ見するくらいで十分、テレビは大谷さん三昧ですからね)のですが、韓国のニュースはもう1か月くらいこの話題です。

国内の医師不足への対策と言われますが、この記事を読むとどうやら都市の医師不足解消が主であるようです。
ただ、医学部定員を、現在の3058人から5058人に増やすというのは随分というか、乱暴な感じがしますね。KBSテレビのインタビューでは研修医が「今まで解剖も2~3人で1体だったのが、倍だから6人でやるようになる。検体数が倍に増えたり、指導教授が倍増するるわけではないので、質の低下は必至。」というのも頷けるし、「そういう研修医が現場に出るようになると、病院の医師も患者に向くだけではなく、研修医指導への時間も相当取られる」というのもまたなるほどと思うのです。

ただこれには書かれていませんが、韓国は「医療ビジネス」に相当力を入れるという政治的な意思を感じます。既にタイあたりでは高度医療(儲かる医療)に舵を切って、海外の富裕層のタイでの医療行為を進めているというのは数年前から有名です。
恐らく韓国もこういった「海外富裕層」の医療行為を国の重点経済政策として進めていこうとしているのではないでしょうか。つまり記事にあるような地方切り捨ては織り込み済みで、倍増する医師でも、稼げる医者を増やすためには全体の医者数を増やすという目論見だと思います。稼げない医者は地方に切り捨てて、安い医療に重視させればよいと思っているのではないでしょうか。
記事の「人はソウル、馬は済州島」というのは凄い。実は日本も能登半島の支援の遅れを見ると「人は東名阪、馬は能登半島(あらゆる地方)」とでも思っているのでは?

韓国経済は日本に比べて好調ですが、いつまでもIT産業の好況が続くわけではないので、次の輸出ビジネスを立ち上げなければならないので、その柱を医療ビジネスと考えているように思います。この倍増した医者が稼げるようになるのは恐らく15年くらい先でしょう。韓国ビジネスの未来投資と思います。
だって国内の人口は日本以上に少子化は進んでいるし、貧富の二極化で高度医療の負担が出来る人も減少していますから、内需、国内マーケットを向いているとは思えません。まあ韓国はいずれ北朝鮮と合併する思惑があるでしょうから、そうすると韓国の人口5100万+北朝鮮2500万で合計7700万の規模になれば、医療の内需も増えるでしょうが、北に富裕層が多くいるとは思えないので、やはり海外の富裕層狙いかと。

日本ではどうかと言えば富裕層向けの医療ビジネスは今更と思いますが、かつてこういう大きなビジネスチャンスがあった分野がありました。それは介護ビジネス。それが上手くいかなかったのは、インフラを国が提供しなかったこと、また介護従事者への育成を重視しなかったこと、介護従事者の給料を押さえ込んだことにあると思います。
仮に介護、リハビリ、訪問拠点等各種施設を自治体で提供(もちろん富裕層には豪華施設を提供するのは民間企業が営利でやればよい)し、介護従事者の育成は無料、あるいは有給とし、さらに給料は公務員の給料額にペッグすれば人気職種、人気ビジネスとなったと思います。防衛費をこっちに回せばよいだけでしょう。
日本政府はそういう腹がないのですね、介護をビジネスとして大きくするなら、先に巨大な投資をするという姿勢が無かったら出来なかったということです。今は問題点をふさぐという後手後手といういつものやり口。そもそもビジネスと言いつつ管轄が経産省でなく厚労省という縦割りところが、結局歴代首相に定見のなさ、実行力のなさをも際立たせています(尹錫悦大統領の強引さと比較しても明らか)。

実は過去アップしていますが、高校の同窓会を開催予定で、宿泊もあるので高校の先輩の旅行代理店さんにこまごましたことをお願いしています。先日打合せがあったのですが、その方が
「この所忙しくて、先週はタイに行きました」
「添乗ですか?」
「いや営業、開拓です。タイから日本にインバウンドで来てもらうので」
「へ~」
「タイの富裕層に来て貰うのですが、お金持ちはとっくに東京や京都、北海道みたいな所は行っているので、それ以外の地方がはやり始めているんですよ」
「なるほどそういえば平和公園あたりも最近観光客がタイ語らしき言葉を話されているのが耳に入るようになりました」
「韓国の人も来るのですがこれは若い人が多くてお金が落ちません。一方タイは富裕層なので結構金が落ちるんです」
「円安はタイでも感じましたか?」
「先日行ったタイで少し美味しい晩飯と思ったらすぐに6000円くらいします。対ドルやユーロだけでなくタイバーツでも150%くらいになった感じですから、今は日本から海外にという選択はあまりないですね。ハワイに行ったらすぐに30万くらいしますから」
「じゃあ日本人は日本国内でチマチマ旅行するしかないんですね…」

とのことで、広島の小さな旅行代理店ですら(失礼)営業の目が向いているのは海外+富裕層。国内の中間層なんか相手にしてないんです。そういう意味で韓国の医療ビジネスを考えてみました。見当違いとも思えないんですが。

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