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露!

私の家は曹洞宗ですが、今回神石高原町であったご葬儀も曹洞宗でした。広島にいるとほとんどの葬儀が浄土真宗なので、新鮮でした。
自分の親族以外の葬儀では初体験だった(と思う)ので、参列しながら要領を知ることが出来て良かったかと思います。もちろん同じ宗派であっても、備後と安芸ではまたやり方も違うのかもしれませんが…

ご住職がお通夜の席で「明日の葬儀の手順についてお話をしておきます」と丁寧に説明をされたので、さらに今回の葬儀の流れがよくわかったのです。

まず、故人を仏の弟子にするための「授戒の儀式」が行われ、その後「引導の儀式」を行うことで故人を仏の世界へと導いていくというもの。
葬儀と告別式の違いもわかりました。

まずは授戒の儀式です。
授戒とは、亡くなった方が仏門に入るために必要な戒名や、戒法を授かるために実施され以下の5つで構成されています。

酒水(しゃすい)→清水を故人に手向け、煩悩や穢れを清める
懺悔文(さんげもん)→導師が懺悔文を読み、故人の生前の罪を懺悔
三帰戒文(さんきかいもん)→仏の教えを遵守し、修行者に帰依することを誓う
三聚浄戒・十重禁戒(さんじゅじょうかい・じゅうじゅうきんかい)→修行者としての戒めを授かる
血脈授与(けちみゃくじゅよ)→お釈迦様から故人へ続く系図を記した血脈を、霊前に供える
この5つで仏陀と道元禅師(高祖)、瑩山禅師(太祖)の3人の元で故人が仏門の一員になったことになります。

この後にお経が始まり、そこで喪主から焼香が始まりますので、それ以降が告別式という扱いだそうです。昔は授戒までは故人の遺族、親族だけが参加し、それ以降に一般会葬者を入れたそうですが、今は引っ付けているとか。

そして曹洞宗の特徴である鳴り物「鼓鈸三通」入りのお経を唱えて、故人が心穏やかに浄土に向かうようにします。印金(手持ちのリン)、鼓(手持ちの太鼓)、妙鉢(シンバルのようなもの)を順番に「ちん、どん、しゃん」ですね。

最後に「引導」です。払子(ほっす)と呼ばれるものを振るって邪気を払い、仏門に入った故人が仏として悟りを開けるよう祈願するお経を唱えることで終了ですが、この法語の最後に同氏が突然「露!」と突然大きな声を出すので結構ビックリしましたが、これは故人が浄土に立ち向かうよう激励をする応援歌、「気合を入れて自分を見失うな」みたいなもので、「露」(ロー)とはあらわになるという意味だそうです。

親族の葬儀だと儀式そのものに入り込んでしまいますから、少し距離を置くと学べることがありました。故人にも感謝したい。ご冥福をお祈りします。

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