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経験はなにも教えない

毎年女房の友だちがまとめて購入するワインが来ました。
北海道の蘭越町の松原農園さん。

ワインは週末に頂きました。


松原農園だよりというのも付いています。
読んでいると今年は北海道も随分と天気が不順な春のようで、農場の近くの羊蹄山では遭難者もいたとか。こう諭しています。

「経験はなにも教えない」
古い山の雑誌(「岳人」だったかな)に掲載されていた紀行文で接した言葉です。
大まかにいえば、「こんなケースは、過去の経験から大丈夫だろう」と考えてとった行動が大怪我寸前の事態を引き起こし「ヒヤッとした」際のことを綴っていたと記憶しています。この言葉はこのように言い換えることができるのでしょう。
「経験が教えるのは、その時たまたまそうなったということだけである」

なるほどですね、何事にも通用する教えでしょう。

またとてもよい地図読みについての説明も。

「コンパスは「方角を知る」ための道具ですが、私はいろいろな失敗の末、「最も小さな単位で地図を読む」ための助けとして「シルバコンパス」というオリエンテーリング用の道具を使うようになりました。私が使う地図で1mmと言えば現実には25m。このくらいの距離があれば、人は簡単に道に迷います。手元に写し取った方向、地図読みして理解した傾斜の角度や形を駆使し「10mに一度はコンパスを確認し」「1mm(つまり25m)進むと地図にコンパスを当て直し」「地を這うように」進んでいきます。このくらいの精度で進まなければ、「数mも見通せないハイマツや根曲がり竹のヤブ」「猛吹雪の平坦な台地からの下り尾根」などには対処できません。自分の「一歩一歩」が今どこに刻まれているのかを正確に理解するためです。
動画などで紹介されている一般的なやり方では、「遠くに目標を見つける」ためにコンパスが使われています。登山道がきちんと整備されているような場所ではそれで十分ですし、今やスマホに「GPS」がありますから、紙の地図など持つ必要がないと思われても無理はありません。
しかし本当に「経験のない事態」に遭遇した時に「自分が一体どこにいるのか」を正確に理解するために「遠くに目標を見つける」よりも、「地を這う」方法が合っていたのでしょう。
我田引水で恐縮ですが、ワイン造りを続けていくためにも私にはとてもゆっくりした、ちょっとずつの試みや努力、皆さんの感想や偶然との出会いなどが必要だったような気がします。とても「タイパ」が悪そうですが。」

わたしも学生時代から今に至るまで山に登っていますが、松原さんの指摘は素晴らしい。コンパスを引っ張り出してみようと思います。
そういえば数年前に学生時代愛用していた国土地理院の2万5千分1 地形図を買いに行こうと広島の紀伊国屋書店に行ったところ、いつのまにか取り扱いがなくなっていてビックリしたことがあります。どうやら官報を扱うところ以外では丸善・ジュンク堂しかないみたい。こっちを手に入れる方が面倒かもしれません。これも経験は何も教えない…でしょうか。


是非気楽にリラックスして飲めるこちらのワインお召し上がりください。


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