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Drive His Car

月命日の前の日曜日は墓掃除の日であります。この日も掃除が終わり帰り道の目の前の車にハッとしました。「MORRIS 1100」とあります。
排気管はプレートの下に1本だけで、走り出したらモクモクと排気ガスも出てくるので、後ろにつけると少々…。エアコンも十分でないのかドライバーは厚着+帽子着用であります。どうやら50年前の車のようですが、オーナーの彼は大事に乗っているようでいいですね。後ろについてしばらく追走しただけですが、思いはDrive His Carです。

Drive 〇〇 Carといえば、ビートルズのDrive My Carか村上春樹氏となりますが、先日まさにDrive My Car、Drive Her Carといった素晴らしいテレビドラマを見て驚きました。それが「ドライブ in ウクライナ」です。
今回は5作までで、6作以降はウクライナで作成中とか。

こういう映画、ドラマを作るアイデアが流石ですが、5作ともウクライナ侵略戦争が背景にあり、また彼女が妹の死の真相を突き止めようという連続した底流はあるのですが、乗客がそれぞれ「破壊された家の姉妹」「ウクライナに住むロシア系の人」「ウクライナ人と結婚した息子(特派員)の両親」「徴兵忌避者」「LGBTQ」と観点が違う中、違う乗客を乗せる主人公が、それぞれの乗客の背景を聞き、自分も変化していくというのが惹きつけられます。

このドラマ見た方良いです。ロシア兵は出ないし、ウクライナ、ロシアの政治家は基本出ませんが(ニュース画面を引用)、ウクライナ各地で起きている社会の日常を垣間見る気がしました。

この中で3作目のフランス人の両親、特に母親のウクライナに対する思いは、ウクライナが欧州の辺境という意識からのもの。多分にEUの主要国の国民にも根強くある意識かもしれません。西欧からみた東欧の偏見に満ちた差別感があるのかもしれないと思うのです。
私が以前感じた東欧の得体の知れなさという怪しい感じは映画の「異端の鳥」でも感じました。原作はポーランド人作家、監督はチェコの方で第二次世界大戦の頃の話ですから、近代から現代に移っているはずなのに、東欧は中世にしか見えない、得体の知れなさが全体にありました。

この映画を見たのはコロナ前で、もちろんウクライナ侵略戦争も起きていません。「異端の鳥」はユダヤ人ホロコーストも背景にありますが、イスラエルのカザ虐殺も起きていませんでした。
まさか「異端の鳥」で描かれていたような戦争の狂気が今現実に目の当たりにするとは思いもしなかった。

「ドライブ in ウクライナ」のフランス人の母親がウクライナ(東欧のかつ辺境)に感じる得体の知れなさから生まれる差別意識は西欧の人がどこか持っているものかも知れないな、ウクライナに対するEU各国からの支援のスタンスもまたそれが底流にあるのかとも感じざるを得ませんでした。

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