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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

近所の映画館で今週からは夜の上映があるのですが、さすがに3時間半近い映画なので、7時過ぎにスタートの回だと家に帰るのが11時過ぎるので、連休にひさびさ、夕方4時過ぎからの回に夫婦50割引で行きました。
それがこちら

圧倒されました。久々に映画らしい映画を見た、いやスクリーンで映画を堪能したという感じでした。この回の観客は6人程度だったのですが、みんな満喫したことでしょう。

やっぱり主役のディカプリオの小悪党振りに感心しました。私は彼の映画はほとんど見ていないのですが、それは色男が色男役をして何が面白いのか?という思いがあるので、予告編とか見て敬遠していました。
それがこの映画はめちゃ悪くはないが、それに流されて悪いことを繰り返します。見ていてそっちやっちゃダメよと思いながら見ているのですが、ダメな方を進むんですね。ダメな所を選ぶ人間の本当に弱いところ、それは自分の中にもあるわけですが、それをむきだしに見せてくれました。
先日BSでポール・ニューマンの「暴力脱獄」をやっていましたが、彼はまさに色男に徹しています。チンピラというか破滅願望のある囚人役ですが、やはりいい男で、ああいう奴になりたいなと思わせるところもありますが、キラーズのディカプリオには誰もなりたいとは思わないでしょう。そこが凄い。またそういう役をするからか、単純な色男というより、そうですねマーロン・ブランドみたいな、ものすごい癖のある顔に見えるんですね。

そして本当のワルはロバート・デ・ニーロ演じる叔父のヘイル。顔と肚が違うというのを見事にやっていました。まさに今の政治家を象徴しているような感じでした。
その他ディカプリオの妻モリー役のリリー・グラッドストーンも素晴らしかった。彼女にはアカデミー賞あげてもらいたいと思います。

そんな中、ネイティブアメリカンを殺すのは何とも思わない奴ばかりで、唖然としますが、中でもこいつどういう奴?と思ったのは、スコット・シェパード演ずるディカプリオの弟のバイロンでした。
殺し屋と一緒にモリーの姉のアナを殺害した後、彼はその晩ディカプリオの家に泊まります。その時モリーと会話するシーンが…モリーの姉を殺した直後にそんなことできるのか?と思いましたが、そういうのが当たり前の時代であり場所だったのだと思います。ヘイルの指示を淡々と受け入れて実行する兄弟がいたから、ディカプリオも「俺もやらなきゃ、やってることは普通のこと」と受け入れるようになったように思います。戦場で兵士が平気で市民を撃つようになるのと同じかもしれません。

映画の終わりで音楽が「ロビー・ロバートソン」と出ていてビックリしました。8月に亡くなったロビーがスコセッシと組んでたんですね。慌てて家に戻ってサントラを見ると、彼の曲だけでなく選曲もしていたので、この映画の3時間半の音楽には一貫性があり、それも印象的でした。

図書館に原作の「花殺し月の殺人」(デイヴィッド・グラン)を予約したので待ち遠しいです。


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