#163 読書日記31 チーミング TEAMING
『チームが機能するとはどういうことなのかTEAMING』
エイミー・C・エドモンドソン 野津智子訳
エイミー教授は「リーダーと経営論」を研究対象とし、MBAやエグゼクティブ教育プログラムの開発や世界中の組織へのコンサルティングをおこなっている。
本書はタイトルどおり「チーミング(TEAMING)」に関する示唆を与えてくれる。
初版からすでに10年が経過しているが、組織は今もなお同じ課題を抱え解決や改革に奔走している。
今後も変化の激しい時代は続く。
どこへ眼差しを向けるべきかをという点で、本書はビジネスだけでなく、教育・学校、家庭にも応用できる要素がちりばめられている。
ひとつの組織の中にはさまざまなプロジェクトチームがある。
私自身、学内外で複数のプロジェクトに携わっている。
チームごとに独特のやり方があって戸惑うこともある。
組織は学習し続ける必要があり、実行したことを振り返り、次なる課題を見つけ未来へつなげていくサイクルを仕組みとしてつくらなければならない。
うまくまとまるチーム、まとまらないチーム、うまく結果を出せるチーム、出せないチームがある。
自分の経験も含めて考えてみた。
チーム内において、自分に対して何らかの評価をする人がいると、対人リスクを考えて、よいイメージを維持したい、悪いイメージは持たれたくないと考える。
「これは言わない方がいいだろう」と自己規制がはたらく。
人は情緒的な部分で揺れ動く生き物。
感情に論理性はない。
感情のぶつかり合いは調整が面倒なので、できれば穏便に済ませたい。
感情はチームの結束力を低下させる要因になりうるので、多くの人は調和を乱したくないと考え、意見を言うことに消極的になる。
しかし、間違った結論や意思決定につながることだけは避けなければならない。
チーム内に「心理的安全」があれば、たとえ厳しいフィードバックがあっても、不都合な真実から目を背けずにとことん話し合いができるようになる。
政治も企業も学校も家庭も、みんな‥‥
仮に、何かでミスをしても、批判されたり罰せられたり評価を下げられたりしないなら、不快な思いもしないし恥をかかされることもない。
心理的安全は、自由に質問したり、意見を言ったり、疑問をぶつけたり、アイディアを提案する雰囲気をつくり出してくれる。
チームメンバーとしての自立性とは何か。
課題と向き合い、変化に適応し価値を創出するためにどうしたらよいかを考える必要がある。
トップダウンのチーム運営はもはや古く、機能不全を起こしているということは、何十年も前から言われているにもかかわらず、依然として変わらない、変われないチームが世の中にあふれている。
理論と実践は続く。
イラスト出典