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#335 伝わる声質、声色、話し方

地方TV局の番組に何度か出演したことがある。

大学に勤めてからは、周りが専門性の高い研究者ばかりだから、さすがに私に出番が回ってくることはないだろうと油断していたら、あった・・・・・

教職課程(教員養成)に関わる取材インタビューだった。

本番前の待ち時間に女性アナウンサーと世間話をした。

アナウンサーだけあって滑舌がよく声の質もいいなと思った。

とても興味深かったので私からやたらと質問した。

実はフリーアナウンサーで、本業は劇団俳優だという。
普段は舞台に立っているそうだ。

なるほど、声の出し方が違うのはそういうことだったのかと合点がいった。

上手い役者は何種類もの声色を使い分けている。

声は人間性が滲み出るもので、言葉は人格が現れると言われています」と彼女は言った。

えっマズイ!
自分の声はチンパンジー性が滲み出ているのか?
話すたびにチンパンジー格が現れているのか?
チンパンジー格ってなんだ?


確かに、声の質が言葉に彩りを添えて説得力が増して心に突き刺さったり、じわーっと沁み渡ることがある。

窪田 等、森本レオ、草なぎ剛、田口トモロヲのナレーションは穏やかで邪魔にならず聞いていて心地よい。

私の場合、講義では声を張っている分、もしかすると学生たちを威圧しているかもしれない。

自分の言葉に酔っていることだってあるかもしれない。
毎回、反省の連続だ。

彼女は役柄に応じて微妙なニュアンスを発声や声質でどう表現するかということに苦心している。
ボイストレーニングをちょっとでも怠ると声が出なくなってしまう。

舞台、TV、映画、イベント司会など、それぞれの状況に適した役づくり、声づくりがあるのだろう。
声のトーン、話し方、間の取り方、息づかい、表情、身振り手振り‥‥

チンパンジーの私は、いかに人間らしく見せるかが勝負どころだ。

演劇では稽古中に脚本家や演出家の方からダメ出しされることはしょっちゅうあるという。

その日の体調や感情に左右されることだってあるだろう。

どんな職業でもプロフェッショナルとしてやっている以上、心身の管理は重要だ。

私から質問してみた。


「演技って、別人格になり切るわけじゃないですか。
あなたみたいな美しい人でも冴えないボーッとした人間や悪魔を演じてみたりとかね。
自分じゃない何者かに入り込むという感じなんですか?」

女優
「美しくないですけどメイクの力って大きいですね(笑)
実際には内面にいろんな私が潜んでいます。
私の中に存在する黒い部分をデフォルメするとか、演出家や脚本家と話し合ってイメージを共有したり、ゼロから創り上げていくこともあれば、共演者の演技力で意図せず引き出されたりすることもあります。
不思議な感覚です。
結局、日常の人間関係も一緒だと思うんです」


「なるほど、深い話だ。
仕事と日常ってON、OFFを使い分けたほうがいいと思うけど、相互に活かせること、活かすべきことがあるってことですね」

女優
「そうですね。
滑舌がよくて音声が心地よい人の話は自然と耳に入るというのはいろんなワークショップを主催しながら私自身、実感しています。
ハスキーとか悪声でも発声の仕方でいい感じになるんです。
声は奥が深くてすごく難しくて、せっかくいい内容でも耳障りなトーンや話し方は聞いている人の耳が心理的に音声をオミット(除外)してしまいます。
極端に言えば、話し方と声で聞き手の心が決まるということです。
私は普段の生活でも気を付けるようにしています。
あのぉ~先生・・・・なにメモしてるんですか。
聞くのは私です。
逆じゃないですか(笑)」


「いやぁ、今日は貴重なお話をたくさん伺うことができました。とても満足しています。
これでインタビューを終わらせていただきます。
本日はアナウンサー兼舞台女優の○○さんでした。
○○さん、ありがとうございました!」

女優
「いやセンセー、違いますって!
これから先生がインタビュー受けるんですからぁ!笑」

「あっそうでしたっけ?
今回の撮影は、闇の世界に暗躍するブラック教師に独占インタビュー!!
みたいな感じで、私の声はボイスチェンジャーで加工してください。
それと顔の調子が良くなくて、
モンキーっぽいのでモザイクかけておいてください。
⊂((◕⊥◕))⊃ ウッキー!