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今も心を離さない、島での感動(奄美大島のコト:VOL5)

(前回までの続き・・)

あまり期待せずに、
奄美大島で参加したナイトツアー、
その出会いが島への印象を
ガラッと変えた、、そんな続きから。



3時間のツアーを終え、
平地に戻ってきた私たち家族。
一緒だった夫も息子もそれぞれに
たくさんのことを感じたみたいだった。

ホテルまでの帰り道、
アマミノクロウサギのこと、蛍のこと、
見たこともない不思議なカエルのこと、
天の川に混ざって流れ星があったこと、

そしてガイドさんが
保育園の同級生のこはるちゃんパパに似てたこと
(これは3人とも異議なし!だった)

それぞれが興奮気味に感想を口にした。
本当にいい時間だった。

私は最初、奄美に期待薄だったので、
とにかく申し訳なくて、
ツアーを組んでくれた夫と
奄美大島に心の中で謝った。

そして、ツアーの翌朝から、
奄美大島の見え方が変わった。


――


例えば、旅行中何度か訪れた、
島内唯一のホームセンター。

ホームセンター自体は、都内と同じ
見慣れた景色だったけれど、
視線を建物のまわりを360度回転すると、
その建物は、恐竜時代から生息してそうな
ガジュマルやソテツやら、うっそうとした
ジャングルの中にぽつんと立っていることに気づいた。

なんだか、古代の島にホームセンターだけ
タイムスリップした、そんな風にさえ感じた。




例えば、息子との浅瀬での海遊び。
子連れなので、ダイビングも
船で沖に出てのシュノーケリングも断念し、
どこかで南国の魚を見ることはあきらめてた。

でも、実際のところ、岩場を探せば
浅瀬であっても十分にカラフルな魚たちを
目にすることができた。何度も
おびただしい魚の大群に囲まれる、
ミラクルな体験も何度もした。

魚たちの世界に夢中になり、
保育園ではプール嫌いな息子は、
自らライフジャケットを身に着け、
教えてもいないのにシュノーケルの
息継ぎをマスターしていた。

奄美では無理をしなくても
手を伸ばした先にすばらしい自然があった、
その魅力が知らず知らずのうちに
息子を成長させていた。




そして、島内の雰囲気を味わいたくて、
地元の人が楽しむ定食屋さんや、
漁港にも足を延ばしてみた。

美しい色の海、そこに連なる民家。
その一歩先には手つかずの
ジャングルのような山々があった。

自然の中で命と隣り合わせという人も
多いだろう、だけど不思議なくらい
島には神社仏閣が見当たらなかった。

もしかしたら、身近にある海や山を
神として昔の人たちは崇めたのかもしれない、
そうやって島の昔に思いを馳せてみたりした。



足を伸ばした先々で
自分にとっての小さな発見があった。

それはガイドブックに載っているのではない、
私だけの発見だった。そのことがより一層、
私をワクワクさせた。

奄美はそんな島だった。



そして、最終日の夕方。

地元の人におすすめの夕日スポットを聞き、
その岬へと家族で車を走らせた。

そのスポットは、島の岬に位置し、
そこに出るには長いトンネルを
抜ける必要があった。

事前に調べた、日の入時刻も迫ってきており、
焦りながらその岬に向かった。

いくつも続くトンネルの最後を抜けた時、
エネルギッシュな光景が目の前に飛び込んできた。

何もない水平線に沈んでいく、
マグマが煮えたぎるような夕日だった。

車から降りたった海岸も、
固まった溶岩のような真っ黒な岩だった。

そして、

エネルギー溢れるその風景の中に
一組の老夫婦の姿があった。

海岸で当日釣ったばかりであろう
タコと一匹の魚を岩場に打ちつけながら
その場で捌いていた。

太陽が沈む前に、その日の仕事を
終えたいのだろうか、私たちに話しかける
余裕さえ与えず、一心不乱にそれらを捌いていた。

そこにあったのは
ダイナミックな自然の中でも
日々淡々とこなしていく、
そこに住む人の暮らしだった。


自然の中でどう暮らしていくか、
長い時間の中で奄美の人たちが
選択を重ねながら今に至るまで、
その一部を少しだけ
垣間見たような思いがした。


旅の最後は、その光景で幕を閉じた。


――


奄美で過ごした4日間。

それは、私は何者なんだろう、
これから何者になろうとしてるのだろう、
そう何度も自問自答するきっかけをくれ、
私の心にたくさんのひっかきを残してくれた

そんな旅だった。

旅を終えてもうすぐ2カ月、
それでもあの島で見た数々の感動は
私の中でまだ色あせることない。

少しずつ時間差で私のこれからの人生に、
今トライしている新しい生き方に影響を
与えてくれる、そんな確信だけが湧いてくる。

アマミノクロウサギという生き方、
島のいたるとことに残っている壮大な自然、
海岸線で見た老夫婦のこと、

私はこれからも何度も思い出すだろう。
それぐらい素晴らしい奄美での4日間だった。


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